FC2ブログ
 
アルヴァ・アアルト展―もう一つの自然
昨日の日曜日は、葉山にある神奈川県立近代美術館へ「アルヴァ・アアルト―もう一つの自然」と題された展覧会へ行ってきました。

alt1.jpg

アルヴァ・アアルト(1898~1976)はフィンランドを代表する建築家で、建築のみならず、家具、照明器具、ガラスの器等、生活に密着したデザインで知られています。
その建築のプランは、独特な曲線を描いて、木を多く使うインテリアと相まって人の感性に柔らかく響く形が特徴となっています。家具や、ガラス食器も同じような曲線を使ったものが多く、今でも多くの人に愛用されています。

アアルトは、有名な建築家ル・コルビュジェよりも9つほど年下で、同じように現代建築の初期に立ち会ってきた建築家といえますが、コルビュジェが理論家であったのに対して、自然や人間の感覚に寄り添ってデザインを行ってきた建築家と言えるのではないかと思います。

コルビュジェの建築は地中海の光と影の濃い環境との関係を感じますが、アアルトの光は柔らかく、影もはっきりとは見えない、北欧らしい優しさを感じさせます。

今回の展示で、図面や模型も良かったのですが、アルミン・リンケという写真家の大きく引き伸ばされたアアルトの作品の写真が、そのアアルトの光を見事に表現して居ました。

12月25日(日)までの会期で、残りはあまりありませんが、興味があるようでしたら今週の連休にでも行かれては如何でしょうか。

葉山の美術館は、交通がちょっと不便ですが、海に面して素晴らしい景色を楽しむこともでき、お天気が良ければすぐ裏の一色海岸を散歩するのにも良いところです。

alt2.jpg

alt3.jpg

alt4.jpg
Posted by kozyken
category:建築
comment(0)    trackback(0)

トレヴィーゾ ―もう一つの水の街
ヴェネツィアのラグーナに注ぎ込む川のひとつ、シーレ川を30㎞程遡ったところに、トレヴィーゾという街があります。

城壁で囲われた旧市街が東西に1.5㎞、南北1㎞程の小さな街ですが、北側を流れるボッテニガ川から取り入れた水を、3本に分かれる運河に流して、町の南を流れるシーレ川まで、街中いたるところで水辺に出会う美しい街です。

これが街の南側を流れるシーレ川です。

trev1.jpg

街の北側にはボッテニガ川から水を取り入れる水門があり、ここから水路は3つの運河に分かれて、町の中を縦断します。

trev2.jpg

東側を流れる運河、カニャン・グランドの中ほどにある小さな中の島は、魚市場になています。ちなみに、ヴェネツィアではカナルと言われていた運河のことをトレヴィーゾの方言ではカニャンといいます。

trev3.jpg

かってはこの運河のいたるところに水車があり、製粉、精米、川の鞣し作業などが行われていたようですが、今でもその名残にいくつかの水車が残されています。

trev4.jpg

ところどころで、運河の上に建物が建っていて、その下を水が流れるようになっています。運河沿いを歩いていると、運河が消えてしばらくするとまた現れるという不思議な体験をすることとなります。それだけ水と建築が結びついて、親水性の高い街並みになっているのです。

trev5.jpg

trev6.jpg

運河沿いの建物の一部はポルティコと呼ばれる歩道になっていて、歩くこともできれば、レストランがテーブルを出して運河の水を眺めながら食事が出来る場所にもなっています。

trev7.jpg

trev8.jpg

このポルティコは街の中のいたるところにあり、急な雨に見舞われた時などにもとても助かりました。

trev9.jpg

街のメインストリートは短い距離ですが、夕方ともなると多くの人が、ウインドショッピングを楽しみ、道路まではみ出したカフェやバーには人々が集って賑やかになるのは、イタリアのどこの街でも見かける風景です。

trev10.jpg

trev12.jpg

これは、トレヴィーゾで宿泊したB&B(ベッド&ブレックファースト)の食堂です。朝食はここで自由にパンやチーズ、ジャムに飲み物を取って食べるスタイルですが、何種類ものケーキが用意されて、夕方にはそのケーキを焼く匂いが部屋中に漂っていました。
壁には、開いた本が何冊も張り付けられていて、中々凝ったインテリアになっているのがいかにもデザインの国イタリアと思わせるところですね。

trev11.jpg
Posted by kozyken
category:
comment(0)    trackback(0)

ヴェネツィア(4)-美術館
ヴェネツィアには数多くの美術館があります。

その中でもカナル・グランデの出口に近い、アカデミア橋を渡ったところには、アカデミア美術館、ペギー・グッゲンハイム美術館、プンタ・デッラ・ドガーナと3つの美術館が並んでいます。
ある日半日かけてこの3つの美術館を見て回りました。

vent52.jpg

アカデミア美術館は、ティツィアーノ、チィントレットなどヴェネツィアルネッサンスの巨匠たちの絵画が数多く展示されています。

vent53.jpg

その中庭に面したファサードは、16世紀の建築家、アンドレア・パッラーディオの設計になるものです。

vent54.jpg

ペギー・グッゲンハイム美術館は彼女の邸宅であった建物に彼女の現代絵画のコレクションを展示したもので、緑の豊かな庭と、カナル・グランデに面して優雅なテラスを持つ美術館です。ピカソ、カンデンスキー、パウル・クレー、マックス・エルンスト、ジャクソン・ポロックなどの素晴らしいコレクションを見ることが出来ます。

vent55.jpg

vent56.jpg

それにしても、こんなコレクションに囲まれて、カナル・グランデに面したこんなに広い邸宅での生活というものが、どんなものなのか想像することが出来ません。

カナル・グランデの出口、サンマルコ広場の斜め対岸に当たるところに、15世紀の海の税関、プンタ・デッラ・ドガーナが改修されて、現代美術の美術館になっています。
この改修工事を設計したのは、日本の建築家、安藤忠雄です。

vent51.jpg

厚いレンガの壁と木造の屋根架構を持つ、倉庫のような広い空間の中に、安藤流のコンクリート打ち放しの四角い箱が置かれています。

vent57.jpg

vent59.jpg

vent58.jpg

ここでは、安藤忠雄は歴史のある建物に敬意をはらって、控えめにコンクリートの存在を主張しているように見えます。
そのスケール感覚がとても良くできていて、好感の持てるインテリアに仕上がっています。
この美術館はフランスのピノー財団がそのコレクションを展示するために、安藤忠雄に設計を依頼したものですが、彼は現在このピノー財団に、パリでも18世紀につくられた伝統的な建築を美術館に改修する仕事を依頼されて、工事が進んでいるということです。

美術館の2階の窓からは、カナル・グランデ越しに、サンマルコ広場のタワーが見えます。

vent60.jpg
Posted by kozyken
category:
comment(0)    trackback(0)

ヴェネツィア(3)-ヴェネツィアで見た建築
ヴェネツィアへ行ったらぜひ見たいと思っていたものはたくさんあるのですが、建築家のカルロ・スカルパの作品もその一つでした。

ヴェネツィア生まれのスカルパの作品を2つ見ました。
その一つが、サンマルコ広場に面した建物の中にある、1958年設計のオリベッティのショールームです。オリベッティはタイプライターで有名なメーカーですが、すでにタイプライターは製造しておらず、その後手掛けていたパソコンからも手を引いて、現在はITソリューションの会社のようです。
という訳で、ここはショールームというよりも、現在ではスカルパの作品としての建築そのものが見学の対象となっているようでした。
見るだけならば只ですが、写真を撮るには5ユーロを支払う必要があります。

vent31.jpg

vent32.jpg

vent33.jpg

vent34.jpg

vent35.jpg

vent36.jpg

スカルパの建築の素晴らしさは、そのディテールにあります。多くの仕事が既存の古い建物の改修工事なので、いろいろと制約がある中で、木と鉄、鉄とコンクリート、コンクリートと石といった、素材の組み合わせと、その納まり方が、われわれの想像を超えた不思議な魅力を造りだしています。

もう一つの建築は、僕が泊まっていたホテルのすぐ近くにある、1963年設計のクエリーニ・スタンパーリア図書館です。
ここは、もともと貴族の屋敷だった建物の1階と庭をの改修をスカルパが手掛けています。

この運河を渡る橋もスカルパの手掛けたもので、周囲の石のアーチ橋に合わせて鉄板2枚を組み合わせてアーチとしているもので、構造的にも興味深いものです。

vent43.jpg

1階の玄関ホールは直接運河に面していますが、水位があった時に水が入らないように土手を築いています。

vent37.jpg

vent38.jpg

これは集会室ですが、床の目地の割かた、壁のトラバーチンの割り付けと照明の方法などとても凝った造りになっています。

vent39.jpg

素晴らしいのはこの庭で、コンクリートの壁の前にある池からあふれた水が、その向こう側のカフェテリアに流れて行くようになっています。

vent40.jpg

vent41.jpg

さらにその水が庭を横切って、細い水路からパピルスの茂みを潜って、美しい形をした排水口に吸い込まれるように流れて行きます。

vent42.jpg

ヴェネチアという水の都ならではの、繊細な水の扱い方にすっかり魅せられてしまいました。

この前日に、サンタ・マリア・マジョーレ聖堂を見に行ったあと、その裏にあるギャラリーで、偶然カルロ・スカルパのガラスの器展をやっていたので見てきました。

vent44.jpg

美しいガラスの器はスカルパのデザインと、ヴェネツィアのガラス職人の熟練の技による素晴らしいものでした。
スカルパは、建築家の枠だけではとらえられない、工芸家としての一面も持ち合わせた人でもあることに気づかされました。
Posted by kozyken
category:
comment(0)    trackback(0)

ヴェネチア(2)
前回は、ヴェネチアの観光名所として有名なところ(まだまだ他にもあるのですが)を中心に紹介しましたが、ヴェネチアのもう一つの魅力は迷路のような裏通りにあります。裏通りとはいっても普通の街と違うところは、道よりも運河が中心となって網の目のような通路が出来ているところがヴェネチアの独特な風景を作っています。

vent11.jpg

このように道がなくて運河だけのところもあれば、細い道と運河がセットになっているところもあります。道を歩いていても、しょっちゅう運河にぶつかって橋を渡らなくてはなりません。橋は、下を船が通るので太鼓橋になっており、階段の上り下りがあるので、自動車はおろか、自転車も走っていません。車を気にせずに、車の音も聞こえない街というのもヴェネチアの雰囲気には欠かせない要素です。

vent12.jpg

この小さな運河沿いに僕が泊まっていたホテルがあります。迷路のような道なので、最初のころは、ホテルへ戻るのに何回も道を間違えました。

vent13.jpg

vent14.jpg

そんな狭い道ばかりでは息が詰まるのではないかと思うのですが、しばらく歩くと必ず広場に行きあたります。小さな広場もあれば、比較的大きな広場もあり、その繰り返しのリズムが街歩きを楽しいものにしてくれます。

vent15.jpg

広場には必ずカフェがあり、気候の良いこの季節はみんな外の席で、コーヒー、やワインを飲んだり、食事をしながら思い思いに会話を楽しんでいます。

vent16.jpg

ここは、ホテルからも近いところにある、サンタ・マリア・フォルモーザ広場です。嵐の後のように散らかっているのは、映画、スパイダーマンの撮影の為ということでした。

vent17.jpg

ここはヴェネツィア大学に近い、サン・マルゲリータ広場。学生が多く、観光地から外れた庶民的なとても良い広場でした。

vent18.jpg

この立派な建物は、リアルト橋に近い魚市場です。

vent19.jpg

vent20.jpg

魚市場も運搬の主役は船なので、このように河岸に船着き場があるのは、やはりヴェネツィアらしいですね。

vent21.jpg
Posted by kozyken
category:
comment(0)    trackback(0)

| HOME | next