台湾で見たもの―その5 緑光計画
今回、台湾のリノベーション例を見て歩いた中で、一番面白かったのが台中の緑光計画でした。台北で見た大規模な文創エリアと比べるとずうっと規模が小さく、手作り感の残るもので、そんなところにも親近感を抱いたせいかもしれません。

台中の繁華街にある台中市民広場から南に向かって公園のように伸びる「草悟道」というグリーンベルトの途中から西側に一歩入ったところにあります。
建物は元は水道局の宿舎だったそうですが、廃屋に近い状態になっているところをリノベーションして、レストラン、カフェ、美容院、手作りのお店などが入る施設となっています。

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道路側から見ると、すっかり緑に覆われて、昔のレンガの壁などを残しています。
たぶん、宿舎時代に道路との間が庭になっているところを鉄骨で増築してその二階部分を広いテラスと通路にしているのではないかと思いました。

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一歩中に入ると、その増築部分がところどころ吹き抜けになっていて、上から光が降り注ぎ、植物が育成できる環境にもなっているところが、なかなかうまい手法です。

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二階レベルのテラスからは各店舗にアプローチするようになっているのですが、テラスの幅に変化を持たせて、緑化面積も広いので地上にいるような感覚になります。

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もともとあった樹木を極力残しているのだと思いますが、階段の手すりもこのように木の幹を避けて作ってあるところもニクイですね。

古い建物に最小限の手を加えることで、昔の雰囲気をなるべく残すようにしているのと同時に、建設費を抑えて、家賃を低く抑えることで若い人達が借りやすくしているのではないかと思います。そのことがかえって、資金はないけれどやる気がある若者を集めて、とても魅力のある施設になっていると思いました。
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台湾で見たもの―その4 松山文創園区
崋山1914文創園区から、同じ道沿いに東へ2㎞ほど行ったところに、やはり日本統治時代のたばこ工場をリノベーションした、松山文創園区があります。文創とは、文化創意の略で、古い建物を利用して新しい文化を創り出すといった意味でしょうか。

かなり広い敷地に、かっての工場、倉庫、修理工場などが並び、デザインミュージアム、ギャラリー、レストランとして利用されています。
ここでは、建物も面白いのですが、大きな工場棟の中庭が、熱帯植物に覆われたバロック式庭園になっているところが見どころだと思いました。

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これはかってのボイラー室だった建物だということですが、ボイラー室とは思えない瀟洒な建築です。

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右側の木造のアーケードが掛かっている建物は、たばこ製造の機械を修理する工場だそうですが、今は改装されてレストランになっています。

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左側がたばこ工場の建物で、正面に最近、伊東豊雄さんの設計で出来上がった、松山文創ビルが見えます。

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文創ビルは緩やかな曲面のファサードを持つ端正な建物で、3階までは誠品書店、生活雑貨のお店、ファッションメーカーなどの店舗が入り、上階にはオフィスとホテルが入っているようです。

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メインのたばこ工場だった建物はデザインミュージアムとして使われていて、その中庭は噴水を中心に緑に覆われた美しい庭でした。かっては工場の休憩時間に工員たちの憩いの場所となっていたと考えると、当時としてはずいぶんと先進的な工場だったのだと思います。

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工場棟の向かい側には、倉庫だった建物が並び、今はギャラリーやイベント会場として使われています。

この施設に隣接して現在巨大なドームスタジアムが建設中で、古建築を生かしながら、新しい開発と両立するように街を開発する手法には興味深いものがあります。
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台湾で見たもの―その3 崋山1914文創園区
今回の台湾旅行の目的の一つは、リノベーションされた建物を見て回ることにありました。

まずは台北の鉄道駅から東へ800mほど行ったところにある「崋山1914文創園区」へ行ってみました。ここは日本統治時代のビール工場だったところを、アート、イヴェントスペースとしてリノベーションしたところです。
1914年に創業ということですから、すでに100年以上経っているわけですね。そんな古い建物群を現代的に改装して、利用しているところにとても魅力を感じました。

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台北駅から伸びる大通りに面して、広場の奥にレンガ造りの建物が見えます。

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敷地の中に入ると、かっての工場やツタに覆われた倉庫の建物が並び、地元の若者たちや観光客で賑わっていました。

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こんな庇の下の空間も上手に利用されて、人々の憩いの場所となっています。

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建物の間を抜ける路地に入ると木々に覆われた場所にカフェがテーブルを出しています。

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建物の中にはギャラリーでコンテンポラリーアートの展覧会が行われて居ました。

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建物と建物の間にガラスのアーケードを掛けて、古い建物にモダンな演出しています。左側は古い名画を上映する映画館になっていました。

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建物の隙間をうまく利用した中庭のデッキには夕暮れ時、若いカップルでにぎわっていました。

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中に入っている店舗も夕暮れ時となると部屋の明かりと共にお店の雰囲気が外に溶けだしてきて、とても良い雰囲気を出しています。

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帰るころにはすっかり夜になっていましたが、ライトアップされた建物の外観がとてもきれいでした。
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台湾で見たもの―その2 国立台湾大学社会科学部図書館
台中オペラハウスに続いて、台北で同じ伊東豊雄さん設計の国立台湾大学社会科学部図書館を見学してきました。

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台北の中心部から少し南に下ったところにある台湾大学は、広いキャンパスに緑豊かに南国風の植物の茂る、絶好の環境の中にありました。キャンパス内には、日本統治時代の古いレンガ造りの建物も数多く残っており、そんな中に正門から一番奥の北側に社会科学部はありました。

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教室棟自体は8階建てでコンクリート打ち放しの四角い建物で、ちょっと伊東さんらしくない感じがします。中間を建物が壁にならないように視線と風が通り抜けるようにボイドになっています。その南面に低層の図書館が繋がっています。

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構造は柱の上部がキノコのように広がっているので、マッシュルームコラムと呼ばれるものがいくつも繋がって屋根を形成しています。
このマッシュルームコラムは、建築に詳しい人はフランクロイド・ライトのジョンソンワックスビルを連想するかもしれません。ただし、ジョンソンワックスが上部が円形で、柱が規則正しく並んでいるのに対して、ここではこの葉のような不定形な上部になっていて、柱は全くランダムに立っています。

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教室棟エントランスのキャノピーもこの葉のような形をしていました。

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図書館内部に入ると、ランダムに並ぶ柱と木の葉のような形の連続の間から木漏れ日のような光が落ちてきて、まるで森の中に入り込んだような印象を感じます。

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周りがガラスに囲われていることと、トップライトの光で、日中は照明がいらない明るさでした。

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天井からぶら下がている丸いものは照明器具ですが、天井を照らして間接光で明るくなるようになっているようです。

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書架はまっすぐに並ぶのではなく、アールを描いてさざ波のように広がってゆく形になっています。建物の形に合っているだけでなく、中を歩き回っていると本の迷宮に迷い込んだような気持になります。この書架は家具デザイナーの藤江和子さんのデザインです。

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同じく藤江さんのデザインしたベンチが置いてありました。建築のイメージをうまく表現した柔らかなデザインで、学生が気持ちよさそうに寝て居ました。

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ほとんど壁らしいものはないのですが、何カ所かこのように曲面を持った壁があります。たぶん耐震的な意味合いを持って壁ではないかと思います。

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内部を見学した後、8階まで登ってテラスから見下ろしてみました。このように大きさも形もまちまちな部分が寄り集まって屋根を形成しています。白く見える部分がすべてトップライトになっています。

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外構の植え込みも屋根の形に呼応したデザインになっているところも洒落ています。

台中オペラハウス程複雑な建物ではありませんが、真っ白な抽象的な形態の集合によって、森の中にいるような静謐な図書館になっているところに、共感を覚えました。
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台湾で見たもの―その1 「台中オペラハウス」
月曜日に台湾旅行から帰ってきました。

3泊4日の短い旅でしたが、いつものように慌ただしく歩き回って、いろいろなものを見てきたので、何回かに分けて紹介したいと思います。

今回の旅行の目玉は、建築家の伊東豊雄さんが設計した、台中のオペラハウス(国家歌劇院)を見ることでした。
工事中から注目していた建築で、ずいぶん建築雑誌などでは見ていたのですが、とても複雑な建築なので、実際に見てみないことには理解しにくい建築です。

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外観は長方形の真っ平なファサードですが、内部の空間を予感させるものです。

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これは最上階にあるテラスですが、人間の内臓が口腔と肛門で外部につながるように、内部の3次元空間がここで表に現れているようです。

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そして中に入ると、壁から天井へと複雑な曲面でつながる空間に包まれます。

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これは、家具デザイナーの藤江和子さんデザインのベンチ。建築のコンセプトをうまく家具に写し取っているところは流石です。

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圧巻は2階のホワイエ。まるで洞窟の中にいるような感覚になります。

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床も平らではなく、床から壁、天井へと滑らかに面が繋がって行くのも不思議な感覚です。

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3階のショップの吹き抜けを見下ろしたところ。

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階段も複雑な形をしています。

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3階のテラスへとつながる部分は、内部空間が外部へと流出して行くところです。

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外から見たときに不思議な形で見えたテラスは、ガラスの手摺があって出ることができました。

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屋上は緑化されていて、床に緩やかな起伏があるので、丘を歩いているような感覚になります。

見終わって、とにかく空間のうねりの中で圧倒される思いでした。これを考え、実際に作り上げる伊東豊雄さんの力量にはただただ驚くばかりです。
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