宮脇檀の住宅見学
先週は、僕の恩師である建築家、宮脇檀先生の設計した住宅「中山邸」の見学会に参加してきました。

竣工してから30年ほどたっているのですが、住まわれていたご夫婦が高齢のため家を手放すことになり、この見学会を開いてくれたものでした。このようなことでもない限り、個人の住宅は、なかなか見学の機会はないので、貴重な体験でした。

埼玉県の安行という、植木で有名な町にあるこの住宅は、もともとこの土地の有力者の家があった土地で、この建物ができた30年前には、大きな長屋門と、敷地の周りを取り囲む環濠があったそうです。

その広い敷地に、コンクリートと木造の混構造で、軒の深い瓦屋根の載った、大きな住宅でした。
瓦屋根と深い軒と言えば、和風のデザインですが、ベタな和風にならないところが宮脇流です。雁行して部屋がつながってゆくプランは、このゆったりした庭との関係を考えて、内外を繋ぐ開口部の開け方に特別な注意が払われているようでした。

瓦の載った門をくぐると長い屋根のかかった玄関のアプローチにあたります。

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その横を回るとメインの庭に出ると、雁行するプラン、瓦の乗った屋根のつながりの家の全貌を見ることができます。

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コンクリートの壁は幅の広い横の目地が、なんとなく蔵のような感じがします。大谷石を連想させるからでしょうか。

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これはご主人の書斎です。

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居間は、南側のメインの庭、北側の庭、東側の食堂前の中庭に面しいます。暖炉があって、居心地のよさそうな部屋でした。ソファとイージーチェアーはコルビュジェのデザインのものが使われています。

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キッチンは、使いやすそうなレイアウトで、隣に家事室、主婦のカウンターがあり、玄関からも繋がって回遊同線のプランで、この辺も宮脇さんの神経が行き届いています。

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今はなくなっていますが、竣工当時は敷地の周りに環濠があると聞いて、僕が学生時代に、宮脇ゼミで調査に行った大和郡山の環濠集落「稗田」を思い出しました。あの稗田の環濠越しに見える風景が、この住宅の設計中にどこかで宮脇さんの頭の中によぎったのではないかと想像しました。

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キッチンのちょっとした工夫
前回に続いて、金物を使って出したり、仕舞ったりできる例として、やはり10年ほど前に設計したお宅のキッチンを紹介します。

キッチンカウンターの上では、調理をするときに、水洗いした野菜類を水切りかごに入れておいて置いたり、刻んだり、下ごしらえした材料を置いておいたり、出来上がった料理を盛りつけたりと、結構なスペースが必要になります。
カウンターが広い方が良いわけですが、そうはいっても家の広さのバランスから中々十分な広さを取ることもできない場合が多いのが実情だと思います。

この家のキッチンは長さが2m40cmと少し短めですが、奥行きを75cm取っているので、普段使いでは問題はない大きさだと思います。ただ、お客様が来て、少し料理の量が多いときなど盛り付けのスペースがもう少しほしいということも考えれます。

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そこで、シンクの左側に折り畳み式にカウンターがイクステンションするように考えてみました。これでカウンターが50cm大きくなって、2m90cmになります。
必要ないときは折りたたんでコンパクトにするという仕掛けです。
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玄関のちょっとした工夫
10年前に設計した、たまプラーザの住宅が外部の改修工事を行うので先日伺ってきました。
この家の玄関には折り畳み式のベンチが作りつけられています。

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昔の家は、玄関の土間と上がり部分の高さの差があったので、ここに座って靴の紐を結んだりしていましたが、最近の家はバリアフリーの考え方からこの段差を少なくするようにしています。この家でも上がり框の高さは8cmほどです。
これは、上がるときに楽なのですが、靴の紐を結ぶときにはちょっと不便なので玄関にベンチを設けたり、椅子を置いたりします。
この家では、そのベンチを折りたたんで壁の中に仕舞えるようにしました。

この日も、帰りがけにここで靴の紐を結びながら、でもたぶんいつも出しっぱなしで、仕舞える必要はないのかもしれないと思って聞いてみました。
確かにいつもは出しっぱなしなのですが、何かで玄関を広く使いたいときには、たためることが便利だといういう話でした。

ベンチの横には手すりが付いていますが、これも靴を履いたり脱いだりするときには便利なものです。
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林芙美子記念館
中井の「染の小道」を見た後で、近くにある「林芙美子記念館」に行ってみました。

作家の林芙美子は「放浪記」一躍有名になった後、昭和14年にここに土地を買って家を建てたそうですが、その家が現在では記念館になってなって一般公開されています。
設計は建築家の山口文象に頼んでいますが、林芙美子自身が何度も何度も打ち合わせを重ねて、彼女の意見が随所に生かされているようです。
当時は太平洋戦争間近なこともあり、住宅の面積が30坪に制限されていたそうですが、彼女自身の書斎と画家であった夫、緑敏のアトリエを考えるととても30坪では足りず、二棟に分けて名義をそれぞれ分けることで合計60坪ほどの家になっています。

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敷地は妙正寺川の北側の少し急な斜面にあり、四の坂という坂を上り始めたところに門があります。この日は「染の小道」の一環で、鮮やかな色調の暖簾が掛けてありました。

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門をくぐって、少し上った先に玄関があります。

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玄関に入ると、3畳ほどの空間の右側に客間があり、左に折れて廊下になっています。左側には、南側の縁側とすぐ左にある母の部屋への入り口になっていて、玄関から動線が巧みに分けられている、考え向かれた間取りだと思いました。

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その玄関の間から客間が見えます。売れっ子作家になった芙美子のもとに原稿の催促に来る編集者たちと打ち合わせをする部屋だったのでしょう。

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見学コースになっている、北側の奥の方に書斎の裏庭があります。ちょうど梅の花が満開で、書斎の北側の縁側がありますが、ここがとても良い空間になっています。庭は北側が良いという定石通りに落ち着いた空間で、原稿書きの合間に思索をめぐらすのにはうってつけだったのではないでしょうか。

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南側の庭に回ると、このように2棟に分かれているのがわかります。右側が住居で、左側が書斎や夫のアトリエがあった棟です。

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ここは、書斎の横にある部屋ですが、数寄屋造りの落ち着いた部屋です。仕事関係の応対に使った玄関脇の客間とは別に、もう少し親しい客を招くための部屋だったのではないでしょうか。

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ここが、家族団らんのお茶の間です。

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東南の角に母親の部屋があります。四畳半の小さな部屋ですが中々凝った作りで、僕はこの家の中で一番良い部屋に思えました。照明のデザインも凝っています。

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夫のアトリエだった部屋で、ちょうど朗読会があり、林芙美子がこの家について語った文章を朗読してくれたのがとても役に立ちました。

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ここはお手伝いさんの部屋。寝台列車から思いついたアイディアと語っていますが、まさに二段ベッドですね。

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台所の流しは、テラゾーという人造石で作ったもので、当時としては相当にモダンなものだったのではないでしょうか。水栓が2つあるので、お湯も出るようになっていたようです。

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お風呂も、タイル張りに木の浴槽を埋めこんだもので、ずいぶんモダンなものです。

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その外にはこのようなボイラーが備え付けられていました。最新の設備だったのでしょうね。

この住宅は、山口文象という優れた建築家の感性がいたるところに見えますが、またクライアントとしての林芙美子の感覚も大いに生かされているように見えました。
優れた住宅というものは、建築家とクライアントが共鳴しあって出来るものだと、この家を見て改めて感じました。
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リトアニアのお客さん
先日、3年前に竣工した「ののの家」のお施主さんから、リトアニアからお客さんが来ています、というメールをいただきました。
キッチンでリトアニア料理を作っている写真も送っていただきました。

リトアニアのお客さんとキッチンで

キッチンでリトアニア料理を

去年、同じリトアニアのカップルが知り合いの紹介で数日泊まっていったと聞きましたが、その半年後に、その方のご両親も来て泊まっていったそうです。そして今年も来られたということで、よほどこの家の居心地が良かったのかと思うと設計者としてはうれしい限りです。建物だけでなく、この宅のご夫婦のおもてなしが気に入られてのことだとは思いますが。

今日は、4年前に設計した「逗子の家」のお施主さんからもお便りをいただきました。
ご近所にお住いのアメリカ人の方に講師を頼んで、子供たち6~7人を集めて、週1回の英語のレッスンをリビングルームで行っているということです。

そういえば、僕のお施主さんには国際的な感覚を持った人が多い気がします。それから人が集まるのが好きな人も多いようです。自然と家の作りもそうなっているのかも知れませんね。
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