美の女神が微笑むとき
正面ファサード
エントランスピロティー

建築家の大江宏先生が設計した、法政大学の校舎、55年館、58年館が解体されて、建てなおされることになっています。
戦後の近代建築を代表するといっても良い、美しい建物です。
その法政大学の卒業生として、何とか保存する方向にならないものかと、有志で何回か話し合いをしてきたのですが、昨日「法政大学55・58年間の再生を願う会」と言うものを正式に発足して、保存運動を行うことにしました。
さあ、これからが大変だと思っています。

建築関係者は別として、一般のひとに、近代建築の魅力を理解してもらうのは、難しいものがあります。色々な方法で、建築の魅力を理解してもらい、保存につなげてゆきたいと思っているのですが。
今回は、ある組織設計事務所が設計することになっているらしいのですが、逆に考えて、その設計事務所の案が、今の建物を越える魅力を持った建物になる可能性はあるのだろうかと考えます。
僕はその可能性はほとんどゼロに近いのではないかと思っています。

優れた建築が出来上がる条件は、優れた設計者がいて、又それを理解するクライアントがいて、その時代の持つ精神を掴み取るような気迫が必要なのだと思います。
でも、それだけではまだ足りない。それは同じ建築家が設計しても、必ずしも優れた建築がいつでも出来上がるとは限らないことを見ればよく解ります。
さまざまな、条件が整った上で、さらに目に見えない偶然の力が働いて、初めて素晴らしい魅力に満ちた建築が出来上がるのではないでしょうか。それを美の女神が微笑むというのかもしれませんね。

この、法政大学の建物は、そのような幸運に恵まれて出来たのではないかと思います。
だから、取り壊して、新たに建築してもこれを超えることは非常に難しいと思えるのです。
そして、この建物を取り壊せば、取り返しの付かないものを失うことになると思えるのです。
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スキヤキ

昨日の夜は、母校法政大学建築学科で行われている、公開講演授業「建築フォーラム」の5回目、芦原信孝さんの講演を聴きに行ってきました。

芦原さんは、僕の先輩に当たる方で、ニューヨークに事務所を構えて、設計活動をしている人です。
大学を卒業してから、どのような経緯で、ニューヨークで仕事をするようになったか、日本とアメリカでは建築の仕事の進め方がどのように違うか、など面白い話がいっぱいありました。
ニューヨークで事務所を開いているというと、ちょっと気取った人を想像しがちですが、芦原さんは、ざっくばらんな、気取りの無い人です。

アメリカでは、建設会社が職人を集めるだけで、頼りにならないので、建築家が詳細な施工図まで画かないといけないこと、その職人達がさまざまな国籍の人間達なので、ものの考え方、習慣もさまざまで、統制が取れないことに最初の内はずい分苦労したようです。
そこで考えて、ある日職人達を自宅に招いて、スキヤキパーティーを開いたそうです。
メキシコ人やら、ユダヤ人、ロシア人、アラブの職人達が、てんでに具を入れて、醤油に砂糖、お酒とわいわいがやがや、やっているうちに、おいしいすき焼きが出来て、みんな満足。それから現場が上手く行くようになり、日本人の和の精神が、アメリカで仕事をする上で役に立つことに気が付いたそうです。

設計する上で、アメリカの習慣、法規はもちろん守らなければいけないのでしょうが、日本人らしさを武器に仕事を進めることが、かえって良い場合もあるという話が面白い所です。

この日は、若い学生達にもどんどん海外へ出て仕事に挑戦してほしいという意図で行われた講演でしたが、学生の参加が少ないのが少し気になりました。
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成田へ

土曜日は成田まで行ってきました。

昔設計したお宅のクライアントから、そろそろ定年も近いので、家を改装したいという電話をいただいたので伺ってきました。
伺う前に、昔の資料や、図面を引っ張り出して見てみると、平成元年の日付が入っているので、もう22年経っていることになります。

車で東関道の最寄のインターを下りてゆくと、周りの様子がずい分変わっています。確か開発中の住宅地を脇に見て、林の間を通り抜けて行った覚えがあるのですが、当然ながら、そんな林はとっくの昔になくなっているようです。

20年ぶりにあうFさんご夫婦は、昔とあまり変わっていないように見えますが、当時幼稚園に行っていたお子さん達は、社会人となっているとのこと。
家は、古くはなっていますが、まだまだしっかりしているようで、住んでいる上で大きな問題はないとのことです。庇を大きく出していたのが、建物には良かったように見えました。
トイレやお風呂の水周りの設備を新しくしたい、サッシを2重サッシにしたいなどといった希望と、庭に、趣味のバイクを置くスペースを作りたいなどが、主な要望でした。

行きは、高速道路の渋滞にうんざりしていたので、帰りは一般道を帰りました。地図を見ると、近くに印旛沼があるので、その上の端を渡ってゆくと、沼の上に夕焼けがきれいでした。
印旛沼の夕焼け

印旛沼は沼と言う印象よりも、ずうっと大きな湖のように見えました。
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雨漏り
今日は6年ほど前に設計したお宅へ行って来ました。
実は、数日前に大雨が降った時に、トップライトから雨漏りがしたので、見てほしいという連絡をもらったのでした。
雨漏りなどしないように、細心の注意を払って設計しているつもりなのですが、どうしてもたまにこういうこともあります。雨漏り自身は不可抗力かもしれないけれど、何はともあれ、すぐに行ってみないと、と言うわけで、工務店の監督さんと伺って来たわけです。

トップライト補修作業
屋上に、コンクリートとガラスで作ったトップライトがあるのですが、どうもそこのコーキングが切れたことが原因のようです。コーキングが切れてもその下で水を受けるように、ステンレスの樋を付けているのですが、どうもその裏に水が回りこんでいるようです。
監督さんが、コーキングを修正する支度をしてきたので、その場で一通りコーキングを打ち直してもらいました。
屋上庭園の様子

この住宅は、屋上緑化を施しているのですが、6年間の間にずい分木が育ったり、新しい植物も植えたりでにぎやかな様子になっていました。
野菜用アミカゴ
人工土壌は30cmほどの厚みがあるのですが、野菜を植えるところだけ、スチールメッシュの籠に、養土を入れて、さらに深くして、根野菜も育てられるようになっています。
クライアントは、お忙しい人なので、多少手入れが行き届いていないようですが、そのワイルドな所が、返って自然で好ましく思えました。

紅葉しかけた木
秋らしく、少し色づいている木もあります。
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ヴァインランド
ヴァインランド

トマス・ピンチョンの「ヴァインランド」を読みました。
ピンチョンの小説を読むのは初めてで、最近「メイソン&ディクソン」が評判になっているので、これを読もうと本屋に言ったのですが、あまりの本の厚さに、ちょっとたじろいで、隣にあったこの本を買いました。

60年代、カリフォルニアのヒッピーとフラワーチュドレンと言う、帯の文句につられて買ったのですが、読み始めると、いきなり頭の中をぐるぐるかき回されている感じで、最後までそのパワーが衰えない、こんな小説を読むのは初めて。

話は1985年のカリフォルニア、ピッピー崩れの男ゾイドとその14歳の娘プレイリーの話から始まって、時代は60年代末の反体制学生運動、ヒッピームーヴメントの時代とを行き来しながら進んでゆきます。その時間が勝手に入れ替わって、話の対象もくるくる変わるので、慣れるまでは訳がわからないのですが、その豊穣な語り口に翻弄されているうちに、いつの間にか物語にのめりこんでいる自分に気が付きます。
ゾイドの別れた妻、フレネシ、その友達で日本で忍者の修行を積んだDL、フレネシに付きまとう麻薬捜査官のブロック・ヴォンド等など、登場人物がかなり変わっている上に、死んでいるのに死に切れない、シンデルロなどと言う集団まで出てくる。

言葉は、ヒッピー連中の俗語や、独特の言い回し、60年代の音楽、TV番組にあふれているので、翻訳は相当に大変だったと思うのだけれど、相当過激に訳していて、当時の感じが良くわかります。

次は「メイソン&ディクソン」と思っているのですが、少し間をおいた方がよさそう。
トマス・ピンチョンは作品集の形で、続々と新しい役で出版されるようなので、これから楽しみです。
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日本民族建築学会シンポジューム
土曜日は、日本民俗建築学会の創立60周年記念シンポジューム「民俗建築から学ぶ環境-伝統の知恵を現代に生かす」と言う会があったので、出かけてきました。
イランの民家

世界の民俗建築を調査して、その建築と環境との関係を考えるという、なかなか面白いシンポジュームでした。
最初に建築家で、芸大の名誉教授でもある、益子義弘さんの基調講演がありました。高い塀に囲まれて、全く表には窓のないイランの民家、ペルー・チチカカ湖の水上に浮かぶ人口島の民家、スペインの地中に埋まった洞窟住居など、人間は色々な場所に適応して、色々な住み方をするものだと感心します。
ペルー、チチカカ湖の水上集落
スペインの洞窟住居

どの例でも、観測機器を持ちこんで、建物の内外の温熱環境を測定しています。でも、話を聞いていると、必ずしも気候に合わせた快適な温熱環境を目指しているとはいえないようです。チチカカ湖の民家に実際に寝泊りした体験では、夜間氷点下になる環境で、藁の家はすき間だらけでとても寒かったそうです。それよりも、島全体が「トトラ」と言う藁のようなもので出来ているので、地面が全部たたみのようで、裸足で歩いていて気持ちが良いとか、島の会議がトトラの地面に寝そべって行われているのが印象的でした。そういえば、このトトラは食べることも出来て、子供のおやつにもなっているそうです。

ストローベイル住宅

ついで、4人のパネラーの方たちの話がありましたが、日大の糸長浩司さんの、ストーローベイル住宅の話が面白かった。ストローベイルはアメリカでは100年以上の歴史があるそうですが、藁の塊を積んでつくる家です。その表面に土を塗って仕上げるので、日本の土塗り壁に似ていますが、日本の場合は土のつなぎとして藁を使うのに対して、ストローベイルは、あくまでも壁の主体は藁で、その厚さは30cm程になります。そのため非常に断熱性が高く、全て自然素材で、いずれ壊れれば土に帰ってゆきます。藁は多年草なので、繰り返し生産が出来て、環境を破壊することがないという意味でも、エコロジーな方法だといえます。

世界には、本当に色々な建築があるものだと、再認識したシンポジュームでした。
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category:建築
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ノーベル文学賞
根岸英一さん、鈴木章さんのお二人が、ノーベル化学賞を受賞して、日本中が祝賀ムードですね。
次は、村上春樹のノーベル文学賞受賞を期待していたのですが、きのうのニュースでは、ペルーの作家、マリオ・バルガス・リョサが受賞したと報じられていました。
残念ですが、リョサも好きな作家なので、これはこれで嬉しいことです。

しばらく前に読んだ「楽園への道」は、画家のゴーギャンとその祖母、トリスタン・フローラ(彼女にはペルー人の血が入っている)は、斬新な書法で、興味深い本でした。

そのほか、自身の若い時を描いた、自伝的小説、「フリアとシナリオライター」も、面白かったし、「都会と犬ども」「パンタレオン大尉と女達」など面白い作品が色々思い浮かびます。

でも、一番印象に残っているのは、最初にバルガス・リョサと出合った、「緑の家」です。
当時、事務所を開設したばかりで、やっと入ってきた住宅の仕事を、目いっぱい力を入れて設計しているときでした。
そこで、完成した住宅にかさ・べるでと言う名前をつけました。「緑の家」の原題がCASA VERDEだったので。
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JIAトーク-新良太
昨日は、神宮前にある建築家協会のホールで、「JIAトーク」と言うイヴェントがあったので、仕事が終わってから行って来ました。

新良太

写真家の新良太さんの写真スライドと、話を聞く会です。新さんは、僕と同じ法政大建築学科の出身で、新進気鋭の写真家として、注目を集めています。

最初に見せてもらったのは、春日部市にある巨大な地下貯水施設の工事中の写真を撮り続けたもので、コンクリートの圧倒的なマッス、仮設の錆びた鉄骨の造るラインなどが、魅力的な作品群です。
又、夜景の観覧車を、露光時間を変えて、さまざまな光の変化を見せるものなど、日ごろ我々が考えている写真とは違った、表現が興味深いものでした。

飛んでいる、蜂や蝶、雪や水中の泡、炎、煙などの一瞬の姿を、さまざまな角度から捉えたシリーズは、スライドショウで見せてもらうことで、一つながりの物語を見るように美しく、楽しいものでした。
スライドショウで使われる音楽の選曲も、写真とよくマッチして、画像の流れを気持ちよく見ることが出来ます。こういうときの音楽も大事ですね。

スライドショウの間に、彼が愛用しているシノゴのカメラを実物を見ながら、使い方、その特徴の説明を受けたり、デジタルカメラで撮った写真をパソコン上、フォトショップで加工する方法などを教えてもらうなど、実際的な話なども有り、内容の濃い講演会でした。
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国分寺のオープンハウスへ
土曜日は、大学の後輩に当たる二瓶さんが、国分寺で設計した住宅のオープンハウスをやりますと言う、案内をいただいたので、行ってきました。

外観
建物は、コンクリート造の1階部分に、バタフライ屋根(逆への字といったらわかりやすいかな)の木造2階が乗ったもので、2階バルコニーの目隠しの黒く塗られた格子が、ぐるっと建物を廻っていて、明らかに周りの家とは違った雰囲気で、近くまで行くとすぐにわかりました。

2階居間
中に入ると、2階はほぼワンルームで、南側の広いバルコニーに向かって大きく開口が取られているのが、広々と開放的で気持ちが良い空間になっています。

キッチンから子供室を見る
この広い部屋の屋根を、長い垂木だけで支えていて、しかもバタフライなので、途中で屈折している所がなんとも不思議。説明によると、ここに逆梁で、天井の上に梁があって、垂木を吊っているとのこと。変わった構造です。

和紙の間仕切り
2階の北側は、子供室ですが、和紙で作った折れ戸で仕切れるようになっているところも、良く出来ています。

浴室、洗面室
半地下になったところにある、洗面、浴室は明るく気持ちがよさそうでした。まだ外構工事が終っていないのですが、浴室の外側に塀が出来て、外からは覗かれないようになるということでした。

こうやって、時々人の設計した家を見ると、なかなか良い刺激になります。
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category:未分類
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トイレのサイン
横須賀美術館トイレのサイン


先日、横須賀美術館へ言った時に、トイレのサインが、きれいにデザインされているのを見つけました。

トイレの場所を示すサインは、最近工夫されたものを良く見かけますが、なかなかデザイン的に優れているというものは少ないですね。
マークの形、文字のフォント、色など、このサインはとてもシンプルで、かつわかり易いもので、気に入りました。
ペンキ仕上げの壁に、直に書かれているものでした。
Posted by kozyken
category:建築
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