中村好文展「小屋においでよ」
小屋の外観

先日、乃木坂のギャラリー「間」で開催されている、建築家、中村好文さんの展覧会「小屋においでよ」を見にいてきました。

普通、建築家の展覧会と言うと、作品やプロジェクトの図面や模型が展示されているものですが、この展覧会はちょっと変わっています。
ツーフロアーにわたる展示のひとつは、中村さんが住宅の原点と考える、小さな小屋を集めたもので、コルビュジェの休暇小屋から、ソローの森の家、立原道造のヒヤシンスハウス、また堀江謙一が太平洋を単独横断したマーメイド号まで、人が一人で暮らすための、小さいけれども豊かな空間が展示されています。

もう一つは、そんな小さな小屋にあこがれる中村さんが、事務所の所員たちと自力で作った、エネルギーを全て自給自足で生活する小さな小屋の、建設過程の写真と図面が展示されています。

さらに究極は、ギャラリーの中庭に実際に建てられた小さな小屋です。
4m×3m、12㎡、8畳にも満たない広さの中にリビング兼ダイニングとキッチン、バスルームが納まっています。

リビング・ダイニング

オリジナルのペンダントライト

ダイニング・リビングは4畳ほどの広さですが、決して狭い感じがしないのはテラスに面した、開け放せる大きな窓と天井の高さに秘密がありそうです。ベッドにもなるソファーとテーブル、それにオリジナルの薪ストーブまであります。普段住まうのは一人にしても、友達が何人か来て談笑するのにも十分な広さと思えます。

七輪の納まるキッチン
キッチンは決して広くは無いけれども、工夫をすれば十分料理は出来そう。コンロは七輪を嵌め込んだもので、ガスも電気も使わないことを想定しているようです。

バスルーム
バスルームは、これまた狭いけれども便器と洗面器、シャワーが付いています。

外に出ると、屋根の上には太陽光発電パネルと風車、雨水を貯めるタンクが載っています。
実際には、これだけでは生活するエネルギーを得るのは無理がありそうですが、それはあくまでも展示用と言うことでしょう。

言葉ではうまく表現できないのですが、ちょっとここに住んでみたいな、と思わせる何かがこの空間にはあるような気がします。

この展覧会は、6月22日まで、乃木坂のギャラリー「間」で開催されています。興味のある方はぜひどうぞ。
http://www.toto.co.jp/gallerma/
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「ののの家」―基礎断熱
基礎断熱のフェノールフォーム

ののの家では、写真の様に基礎断熱を行っています。基礎の立ち上げり部分とそこから90cmまでの土間部分を、厚さ6cmのフェノールフォームと言う高性能な断熱材を貼っています。

今までは床の部分で断熱をして、床下に通風を取るのが一般的でした。それに対して床下を密閉して基礎部分で断熱を取るのが基礎断熱です。
ここ数年僕の設計では基礎断熱を取るようにしています。
その理由は2つあります。
一つは、床下に通風を取る場合、床下から部屋と部屋の間仕切り壁の中に冷たい風が入り込んで、その冷気が天井まで上ってゆく可能性があります。そのために間仕切り壁の、床との取り合い部分に通気止めと言う断熱材を詰め込むようにするのですが、これが絵に書いたようにはなかなかうまく行かないのです。特に間仕切りのドア下などは、どうしても施工しにくいところが出てきます。
その点、基礎断熱にすれば、床下の通気が無いのでその心配が無く、施工がシンプルになります。

もう一つの理由は、基礎で断熱すると床下は、熱環境的には室内と同じになります。その時に断熱されていない中心部分の基礎が蓄熱材の役割を果たすと考えられることです。
蓄熱部分の少ない木造住宅はどうしても一日の室温の温度変化が大きくなる傾向にあります。その蓄熱部分を作って、時間の経過による温度変化を少なくしようと言う訳です。

ののの家では床の根太の間に、水の入ったセルを置いてそれを深夜電力で温めて床暖房を行うシステムを採用しています。これも水の熱容量の大きいことを利用して蓄熱するシステムですが、この熱を基礎のコンクリートにも蓄熱しようと言う訳です
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category:建築現場
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「ののの家」―屋根工事
今日は「ののの家」の現場へ行きました。いつもの週1回の定例打ち合わせの日ではないのですが、屋根工事が始まったということで様子を確認に行きました。

屋根工事中の板金屋さん

今回屋根材に使っているのは、ガルバリューム鋼板の立平ロックと言われる製品です。
普段使っているのはタテハゼ葺きと言って、現場で鋼板を折り曲げて、ハゼを絞めるやり方なのですが、今回は将来太陽光発電パネルを載せる予定なので、それに対応する必要がありました。この立平ロックには、太陽光発電パネル設置用の部品が用意されていたので採用してみました。

立平ロック

この様に30㎝ほどの幅の板の一方をビスで野地板に止めて、次の板を、端部をこの上にはめ込むようにします。ビスで止めたところはそのままでは雨水がシミ込む恐れがあるのですが、次の板がかぶってくることでカバーしているわけです。

板金屋さんに聞いたところでは、システム化されていて施工が簡単で、信頼性が高いのですが、複雑な屋根の場合は向かないということでした。逆に言えば今回の様に単純な屋根には向いているということです。

鉄板を加工する板金屋さん

そうはいっても、棟の部分、軒先などは職人さんが様々な道具を使って、鉄板を切ったり、上げたりして加工して行きます。本当に職人さんの仕事を見ているといつも感心します。

小庇

これは先日金物を付けたところに窓の上の小庇を付けたところ。この上にも屋根と同じガルバリューム鋼板を貼って仕上げます。
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「ののの家」―サッシの取り付け
昨日はののの家の現場に行きました。

現場はサッシの取り付けが終わり、外壁の透湿防水紙が貼られています。

サッシとタイベック

透湿防水紙とは、湿気を通して、水は通さない紙で、アメリカの化学メーカーデュポン社がタイベックと言う商品名で販売しているものです。この上に通気層を設けて外壁サイディングを貼るのですが、万が一サイディングの隙間から雨水が入ってもここで雨漏りを止めると同時に、壁の中に生じた湿気は外に逃がして、内部結露を防ぐという働きをします。
サッシ回りとこのタイベックは防水テープでしっかり止められています。
サッシの上についているのは先日紹介した、小庇を取り付けるための金物です。

唐草

昨日から板金屋さんが入って、屋根を葺くための準備をしていました。庇の先に付ける水切の金物(唐草と言います)などを付けています。
このサッシの上に大工さんに頼んで小庇の合板を仮付してもらいました。小庇の出は20cmなのですが、思った以上に金物が丈夫なので、仮にもう7cmほど大きな合板を付けてもらって大きさを検討しました。結果としてこれでは大きすぎて全体のバランスが良くない事が解り、設計通り20cmで行くことにしました。
実物で見ないと解らないことも結構あります。

アスファルトルーフィング

屋根の上は先週、野地板の上にシージングボードを貼っていましたが、今日は板金屋さんがこの上にアスファルトルーフィングと言うものを貼っていました。今週末にはこの上にガルバリューム鋼板の屋根を葺くようになります。

タイベック越しの光

これは2階のロフトです。タイベックから光が透過してくるところが意外ときれいでした。実際には壁が張られて、このように光が入ることは無いのですが。

大引き

一階の床には大引きと言う材料が取り付けられています。
普通はこの上に床下地になる根太が付くのですが、今回は先に一度合板を貼った上に根太を取り付けるようになります。根太の間に水の入った袋を置いて、水に蓄熱する床暖房のシステムを導入したため、その水の袋を支えるように合板を入れるのです。
まずはその前に床下の設備配管をしておかないといけないのですが、これは来週の工事で、床暖房の工事はゴールデンウイーク明けになる予定です。
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五カ所浦
先週伊勢神宮へ行った時に泊まったのは、南伊勢町の五カ所浦と言うところでした。

伊勢神宮からちょうど真南、山を越えて車で40分ほどのところにあります。
事前にここを知っていた訳ではなく、ネットで旅館を探しているときに偶然見つけた場所です。志摩あたりの観光地のホテルは料金がかなり高いのに比べて、ここの旅館はリーズナブルな値段だったのが一番の決め手でした。
それで、行ってみて大正解。
泊まった旅館は多分この町唯一の旅館で、決して豪華でもなく、どちらかと言うと少し古びている感じですが、従業員の人たちの感じも良く、地場の魚を使った料理もこの値段で、と思うほどの内容でした。

この辺は海岸線が複雑に入り組んでいて、この五カ所湾もかなり奥まった入り江になっています。
そのような複雑な海岸線と、海岸すぐ近くまで迫る山、そして板壁と瓦屋根の民家があれば景色が悪いはずがありません。
妙に気取ったホテルやけばけばしい看板が無いのがとても好感が持てます。

深く奥まった五か所湾

旅館の窓から見える景色も、決して雄大なパノラマではありませんが、民家の瓦屋根越しに見える湾の景色が心をのどかにしてくれます。

宿から瓦屋根越しに見る湾の風景

朝早く起きて、朝食前にカメラを抱えてしばらく町歩きをしてみました。

板壁と瓦屋根の民家

大正時代の建築という元旅館

海岸線に沿って、漁師さんや、海藻を運んでいるおばあさんとあいさつをしたりしながら歩き回ったのですが、気持ちが良いのはみんな礼儀正しく、会えば必ず挨拶をしてくれることです。

海草をリヤカーで運ぶ女性

短い滞在でしたが、出来ればもう一泊してのんびりしたいところでした。
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「ののの家」―野地板取付
昨日は「ののの家」の定例打ち合わせに現場に行きました。

垂木と野地板の見上げ

ロフトから見る

先週屋根の垂木が取り付けられていた上に野地板が張られていました。
通常、この野地板は天井裏に隠れて見えないものなのですが、この家では天井を張らずにこの野地板を見せるようにしています。野地板は下地に使うラーチ構造用合板と言われるもので、製品の性能を示す墨印が押してあります。これを、ちょっと大変ですが大工さんに頼んで、サンドペーパーできれいに消してもらいました。
おかげで、板自身もきれいになりました。

屋根のシージングボード

屋根の上は、この野地板の上に断熱材を貼り、通気の為の通気垂木と言うものを入れて、さらに合板の野地板を貼ります。黒く見えているのは、野地板の上にさらにシージングボードと言う板を貼っているものです。これは、多少断熱の意味もありますが、ガルバリューム鋼板の雨音を吸音するためのものです。
棟の部分に隙間が空いているのは、この上に換気棟と言う部材を取り付けて、通気垂木の間を上ってきた熱い空気を抜くためのものです。

ブラインド付のトップライト

屋根の上には2カ所、トップライトが付いています。
このトップライトの優れているところは、ソーラーバッテリーが内蔵されていて、その電源でブラインドの上げ下げを出来ることです。
現場の監督さんが、リモコンがあるのに配線を忘れていました、と焦っていましたが、ソーラーで動くから電気の配線は要らないんですよ、と言ったら安心していました。

小庇取り付け金物

これは窓の上の小庇を取り付けるため、鍛冶屋さんに特注で作ってもらった金物です。
ののの家は、周りに余裕がないこともあって屋根の庇を出していないのですが、ちょっとした雨の日に窓を開けられないのは困るので、各窓の上に小さな庇を付けています。
この小庇をなるべくシンプルに見せるためにいろいろ考えた末、こんな金物を考えて、庇自体は厚さ30mmの厚い合板一枚で作ることにしました。この金物は出来上がるとすべて隠れて見えなくなるので、窓の上に30mmの板がついているだけのシンプルな庇になるという仕掛けです。
往々にして、デザインをシンプルに見せようとすると、見えないところで複雑なことを考えないといけなくなるということが良くあります。
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伊勢神宮へ
この土日で伊勢神宮へ行って来ました。

外宮、本殿の入り口

今年は20年ごとの式年遷宮の年と言うことですが、それに合わせて行ったわけではなく、たまには家族で一泊旅行をしようと言うことで車で出かけました。
僕はこれで伊勢神宮にお参りするのは3回目です。前回が子供が小学生の時で23年前、その前が学生の時でやはりその20年ほど前、なぜか20年ごとに行くのは、因縁と言うかそのようなリズムみたいなものがあるのでしょうか。

式年遷宮と言うのは、皆さんご存知だと思いますが、20年ごとに神宮の建物を建て替えるしきたりのことです。これは天照大御神を祭る内宮と、豊受大御神を祭る外宮の本宮だけでなくその別宮も、また建物だけでなく祭られる剣などの神器も全て新しくされるそうです。

外宮の別宮、土宮

これは世界に例のないことだと言われますが、日本人の我々から見てもとても不思議なことではないでしょうか。神社やお寺は法隆寺の様に古いものが尊ばれるのが普通ですが、ここでは、形式と精神だけが受け継がれて、建物や神器は常に新しいわけです。
写真でしか見ることは出来ませんが、全て桧の白木づくりの神殿は、威厳がありながら、清々しい美しさを持っていて、これが20年ごとに今まで全く同じものが何十回となく作られてきたことに驚きを感じます。

内宮の新しい本宮が屋根だけかろうじて見えます。

写真でしか見ることが出来ないというのは、本殿は塀に囲われて、かろうじて屋根の上の千木と鰹木が見えるだけだからです。付属の建物だけは、外側の塀越しに見ることが出来ますが、写真の撮影は禁じられています。
と言う訳で、屋根だけですが、現在の本宮と、その隣に工事中で今年10月に遷宮する新しい屋代を見ることが出来ました。

おかげ横丁

内宮の入り口に至る食堂や土産物屋の並ぶ道は、だいぶ前に昔の門前町を思わせるデザインに全て立て直され、おかげ横丁と呼ばれる入り組んだ道と広場が作られているのですが、いわゆる観光地のけばけばしさが無く、とても雰囲気良く出来ていて感心しました。
我々家族は、ここで名物のうどんをご馳走になってになって、帰路に付きました。
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ののの家」―上棟から一週間
昨日は上棟してから一週間たった「ののの家」の現場へ行って来ました。

2階とロフトの床が貼られ、屋根を支える垂木が取り付けられていました。

2階の骨組み
2階はロフト下になるところの天井を低く抑えて、吹き抜けのところで天井を高くするという、天井高のメリハリをつけているのですが、その感じがだいぶわかるようになりました。

化粧垂木
この屋根は垂木構造と言って、棟木と桁の間に母屋がありません。そのために普通の垂木よりも背の高いものを使っています。又、垂木のピッチが普通は45cmのところを30cmと細かくしています。構造的にも細かい方が有利と言うこともありますが、この垂木は化粧で天井に見えてくるように考えているので、デザイン的に美しく見えるようにピッチを細かくしてみました。下から見上げてみるとその効果が出ている事が解ります。

筋違と接合金物
スジカイも取り付けられていて、接合の金物が付いていることを確認。

ホールダウン金物
柱の根元には、ホールダウンと言う柱が地震で浮き上がるのを引き寄せるための金物も尽きています。ただ、この日は金物はまだ全てついているわけではないので、後日まとめて金物の検査を行う予定です。

垂木の金物
先ほどの垂木も、金物と釘を併用してしっかりと止めています。

大工さんと自転車
工事とは関係ありませんが、棟梁と手伝いの大工さんは自転車に凝っているらしく、お昼休みに行ったときには二人そろって自転車の手入れに余念がありませんでした。
二人は、自宅から現場まで片道20kmほどを自転車で通っているそうです。
一日大工仕事をした上に、自転車行を40kmこなすとは、若いとはいえ大したものです。
自宅の赤羽から市川までは、荒川の土手のサイクリングロードを利用できるということで、この季節は確かに気持ちが良いでしょうね。
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category:建築現場
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昔の写真のこと
ここの所フェイスブックに昔の旅行の写真を載せています。

フィレンッエ、サン・ジョバンニ界隈

20代のころにヨーロッパを貧乏旅行した時の写真を懐かしく思って載せています。40年近く前の写真で、自分が懐かしいだけで人に見せるのはどうかと思っていたのですが、結構好意的なコメントを付けてくれる人もいるので、ついつい続けています。

その旅行の時に、スライド用のポジフィルムで1000枚ほどの写真を撮っていたのですが、その内の70枚ほどをある時期にコダックのフォトCDにスキャンしておきました。フィルムがすでにだいぶ傷んで、一部カビが生えたりしているのですが、今のパソコンのフォトレタッチソフトを使うとある程度の修復が出来ます。

撮影した当時を思い出しながら、そんな作業をしていると、当時のアナログカメラで写真を撮ることと、今のデジタルカメラで撮ることの違いが思った以上に大きいことに気が付きます。
当時は少ないお金をやりくりしながら旅行していたので、フィルムはとても貴重で、一枚一枚の写真をとても丁寧に取っていたことが良く解ります。ファインダーを覗いて、画面のレイアウトを慎重に決めて、光の具合や周りの人の動きを見ながらシャッターチャンスを狙ってシャッターを押すという作業を、時間を掛けてやっていました。写真を撮るということはフレーミングとシャッターチャンスだと当時は思っていました。
被写体は、建築や、町の風景なので時間を掛けても逃げてゆくことはありませんから、ゆっくり時間を掛けて自分のイメージに合った画像を見付けてゆく余裕もあります。

それに対して、最近デジカメで写真を撮るときは、フィルムを気にする必要が無いのでついつい迷うことなく同じような写真を何枚も気楽に撮ってしまします。その中から良いものを後から選べばよいと思ってしまうのですが、結果としてどれも緊張感のない写真になってしましまします。

それから、当時の写真を見ていてもう一つ気が付いてことは、アングルの低い写真が多いことです。これも意識的に座って、視点を下げていたのだと思うと、結構いろいろと工夫をしながら写真を撮っていたのですね。

ヘルシンキの港にて

マドリード・プラッアマジョール

ヴェネツィア・サンマルコ広場

パリ、メトロ・オディオン駅ホームにて

アフガニスタン、カブールの路地で、
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「ののの家」―上棟式
昨日は「ののの家」の上棟でした。

建物の骨組みは、日の良い日を選んで大安の火曜日に行ったのですが、あいにくの天気で夕方から雨脚が強くなるという予報だったので、上棟式は昨日に延期になったものです。

上棟の日と言うのは、設計者にとっても、工事を行う大工さんにとっても、もちろんお施主さんにとっても特別な日と言えます。基礎の段階では平面的だったものが、一気に立体的な形を表すというのは、独特な日本の木造住宅の特性ではないかと思います。

組みあがった柱と梁
この家は全体的な形としては一見単純なのですが、実は内部の空間を作るためにいろいろと工夫をした結果、結構複雑な骨組みをしています。

5寸角の化粧柱
これは、この家に2本だけある5寸角の通し柱で、お施主さんの長野の別荘敷地にある木を切って製材したものです。特別な木と言うことで、大黒柱の様に家の真ん中に立っています。柱に四方から梁が刺さる納まり方については、だいぶプレカットの担当者と相談を重ねて決めました。

棟木と隅木
小屋の部分は一方が寄棟になるため、隅木と言うものを掛けています。隅木の取り付けにちょっと不安があったために、大工さんと相談して、ボルトで締めるようにしました。その相談でここまで上ったのですが、大工さんに「普通はここまで上がってきませんよ」言われてしまった。僕は意外と高いところが得意なのですが、油断禁物ですね。

鎌継手
これは梁の継手で、鎌継手と言われるもの。昔はみんな大工さんがノミを使って加工していたものですが、今ではプレカットと言う機械が自動で行います。大工さんが加工すると角が直角になるのですが、機械はルーターと言う回転するもので加工するので丸く削り取ってゆきます。

CN釘
現場に入っていた釘。二階の床下地合板を止めるためのもので、図面で指定したものが使われているかどうか、確認のために写真を撮って置きます。

幣束
上棟式の初めに幣束の前に榊と塩、お米、お酒を備えて神様に工事の無事を祈願。

お清め
建物の四隅にお施主さんが、この塩と米、酒を巻いて建物を清めます。
この後、お施主さんが準備してくれたお酒と料理をいただきながら、この日、建前の仕事をした職人さんをねぎらうと共に親睦を深めました。大工さんは棟梁以下、みんな若くやる気いっぱいなので、これからの工事が楽しみです。
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パッシブソーラー そよ風のデータ
前にも何回かこのブログに書きましたが、去年の秋に完成した「逗子の家」では、「そよ風」と言うパッシブソーラーシステムで暖房を行っています。
逗子の家、断面図
小屋裏のそよ風集熱装置

屋根の軒先から取り込んだ空気は、屋根面を上ってゆくにしたがって熱せられて、棟のあたりではかなり高温になります。この高温の空気を小屋裏収納の中に設けた装置で集めて、ダクトで床下に吹き込むようにします。床下の基礎コンクリートを温めながら、1階の床に何カ所か設けた吹き出し口から温風が出て部屋を暖めます。
日が陰って、棟の温度が下がると自動的に空気の取り入れをやめて、基礎に蓄熱されたエネルギーを使って家の中を空気が循環するような運転を行うというものです。

このシステムの制御盤の中に入っているSDカードに、温度のデータが記録されているというので、丁度一冬過ぎたところで、このデータをお施主さんから送ってもらいました。
データは、数値、又はグラフで、時間ごと、日にちごと、月ごとなどの形で取り出すことが出来ます。
1月29日の温度データ

写真は一つの例として、1月29日のものです。この日は晴れの天気でした。
ブルーのラインが室温、ぎざぎざのオレンジのラインが外気温、真ん中で山になっている赤いラインが棟付近の空気の温度です。
外気温は、センサーの具合が悪いのかだいぶ高めに出ていますが、アメダスで調べると、この日の最高気温は14時に10.7℃、最低気温が朝6時に2.3℃となっています。
これに対して、室温は一日中20℃(17.5℃~21℃)で一定している事が解ります。
朝6時ごろに起きたとしても18度近くあるということは、かなり暖かく起床できると言う訳ですね。

棟の温度は明け方近くには外気温と同じぐらいですが日が昇ると共に上昇して、12時には63℃ほどになっています。この高温の熱を床下のコンクリートに蓄えて、日が落ちてから放熱し始めるわけです。
ただし、この室温は太陽熱だけで得られているわけではありません。そこまでの効率は無いので、エアコンも併用しています。この家にはエアコンを2台用意したのですが、使っているのは1台だけ、食堂にあるものを朝から夜寝るまで温度20℃の設定で付けっぱなしにしています。20℃の設定なので室温が20℃を超えているときはセンサーで運転は止めているものと思います。

ここで特徴的なのはエアコンを止めた後徐々に室温は下がってゆきますが、明け方でも2度ぐらいしか下がっていないことです。
住宅の設計の中で、断熱性能を上げることと、蓄熱する部分を設けることが大事なことが良く解ります。

今工事中の「ののの家」では、「逗子の家」同じ程度の断熱性能を確保したうえで、床下に設けた水の層を利用して蓄熱するシステムを採用しているのですが、同じような効果を期待しているところです。
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大江宏賞審査会
土曜日は母校の法政大学建築学科へ、大江宏賞の公開審査会に行って来ました。

大江宏賞と言うのは、大学院の卒業設計の中から優秀作を選んで表彰するというもので、最優秀賞1点には優勝の盾と賞金30万円が送られます。これは我々建築学科のOBが運営していて、賞金もOBの寄付で賄っています。

今回は大学院の卒業設計が今まで最高の51点集まって、事前にその中から選ばれた6人で賞を競うことになりました。
審査風景

毎年、学生の作品の傾向が変わってくるところが面白いところで、去年までは空間を作るシステムを考えて、その操作により複雑に空間を変容して行き形を作るという作品の傾向がありました。
正直言って、僕にはその空間の操作が実際に建築を利用する人にとってどんな意味があるの?と言う疑問があったのですが、今年はガラッと変わって、地道にテーマに沿ってリサーチを行い、建築の持つ社会的な意義を掘り下げるという作品が目立ちました。
とても良い傾向だと思うのですが、反面出来上がった建築の造形的な完成度が低いというう批判もあり、中々難しいところがあります。

劇場案

世界的に有名な建築家の伊藤豊雄がブリッカー賞を受賞して、東日本大震災以降、建築家は作品としての建築を作るのではなく、その建築を必要とする人たちとの対話の中から社会が必要とするものを作ってゆかなくてはいけない、と言う趣旨のことを話していました。
時代の動きに敏感な学生たちが、その動きを感じ取っているのかもしれないと思います。

被災地再興案

この日の大江宏賞は、被災地、石巻市の牡鹿半島の漁村を再生する提案を行った女学生が受賞しました。
彼女は震災直後から、何度も石巻に足を運び、大学の復興計画案つくりにも参加していました。その時の体験から、町の人たちが本当に望んでいるものを考えて、それをいかに計画するかと言うことを真剣に考えたことが高く評価され、多くの票を集めました。

表彰式

審査会の後の打ち上げ飲み会で、彼女に詳しく話を聞くことが出来たのですが、彼女はこれから仙台に住んで、地元の設計事務所に勤めて、実際に復興計画に関わってゆくということでした。
そこまで考えた真剣さが、この日の審査員の心をとらえてと言えるのかもしれません。
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category:建築
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