マッシブホルツの住宅
先週、先々週と続けて4件の住宅のオープンハウスに行きました。

設計者の年代も30代から70代、男性も女性もいて、4件とも全く違う住宅で、設計者が違えば出来上がる住宅も異なるのは当然ですが、それぞれの建築に対する考え方アプローチの違いが良く解って、とても勉強になりました。

北側外観

南側外観

その中で特に印象に残っているのが先週土曜日に伺った網野禎昭先生の富士宮の住宅でした。
網野先生は長らく、スイスとウイーンの大学で主に木構法の研究をしていた方で、5年ほど前から法政大学の先生をなさっている関係で僕も良く知っている方です。

この住宅は木造ですが、日本の今までの木造の考え方とは全く違う方法で作られています。
厚さが12cmもある木材を一枚一枚ビスで止めながら一枚の壁として組み立てて行くのです。屋根も同じ12cmの板を並べて、そのまま天井として表しています。
これは、スイスやオーストリアでは、割と一般的な工法で、マッシブホルツと言われています。家中の壁天井がそのまま杉の木が現れていて、まるで木の固まりのような住宅です。実際に使われている木材の量は、一般的な日本の住宅の4倍近くになるそうです。ただし使われている木は、割れが入っていたり節が多いために、製材所では流通せずに燃やしてしまうような材料なので価格はずいぶん安いていうことでした。
同じような工法でCLT構法と言うものがあります。これは厚板を工場で接着剤を使用してパネル状にしたものを使うのですが、網野先生はこれには否定的で、今回はあくまでも大工さんが現場で一枚一枚組み立てることにこだわったそうです。工場で大量生産すると、その企業が利潤追求の流れの中で、末端の職人さんたちには仕事も利益も回ってこないので、あくまでも現場生産にこだわるというのは一つの明確な思想ともいえると思いました。

分厚い板の壁

南側の大きなハイサイドライト

2階からキッチンを見る

この家は又省エネルギーの工夫が随所に見られます。
12cmの木の壁の外側には9cmの断熱材が貼られてその外側にさらに4.5cmの木の板が貼られています。そしてサッシはすべて木製でペアガラスが入っています。

薪のキッチンストーブ

温水のシステム図

面白かったのは台所のキッチンストーブです。薪を燃やして調理をするのですが、その熱をお湯に変え、1tの貯湯槽に貯めてお風呂や床暖房に使うのです。この貯湯槽は屋根の上の太陽熱温水器にもつながっていて、夏は主に太陽熱、冬は太陽熱+薪のエネルギーを使うというCO2を極力出さないシステムになっているわけです。

大学の先生の実験住宅と言う面もありますが、大変興味深い住宅でした。
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田園調布の集合住宅-地下の壁配筋検査
地下の壁の鉄筋の様子

今日は、田園調布で工事中の集合住宅の地下部分の壁の配筋検査に構造事務所の所長と一緒に行って来ました。

基礎工事が終わった後、地下室の外側の型枠を建て込み、壁の鉄筋を組み終わったところです。
この建物は鉄筋コンクリートの壁構造と言う構造形式を採用していて、柱が無く壁で建物を支えるようになっています。その為に壁がしっかりしていることが大事になってくるので、壁の配筋が終わった段階で検査をするわけです。

地下の壁の鉄筋の様子

鉄筋が設計通りの配筋がなされているかどうか、窓の開口部に補強が入っているかどうかなどを検査しました。
結果としては、ほとんど問題はなく2,3の細かい訂正をしてもらうことで検査は終わりました。
この後、内側の型枠を組んでから、1階の床に当たる部分の型枠と配筋が終わったところで、もう一度検査を行って、コンクリートを打設するようになります、
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category:建築現場
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30歳からの国際化
大学の教室を借りての講演会

僕の大学の後輩でベルリンの設計事務所で働いているK君が先日一時帰国したので、ドイツでの建築事情などを話してもらう講演会を企画しました。
最近、若者が海外へ出たがらないという話も良く聞くので、主に現役の学生に話を聞いてもらおうというつもりで、僕の所属する法政大学建築同窓会の企画で、海外で活躍する卒業生を招いて話を聞く連続講演会の第一回目でした。

K君は大学を卒業後日本の建設会社の設計部で働いていましたが、思うところあって5年目にその会社を退職して、単独ドイツへ渡りベルリンの設計事務所に就職して3年目になります。
「30歳からの国際化-ドイツへ-」と題したその講演会で、前半はいかにして日本の企業をやめて、知己のないベルリンで就職先を見付けて働くようになったかと言う話をしてもらい、後半はドイツにおけるエネルギー革命と建築、街づくりについてのしてもらいました。

彼が背水の陣で先の見えない海外での生活を選んだ勇気と行動力にも大変感心させられましたが、後半のドイツのエネルギー問題に対する取り組みにもいろいろと考えさせられるところが多くありました。
ドイツは原発を完全に廃止したことでも有名ですが、2050年には全てを再生可能エネルギーで賄うことを目標にしているということで、すでに現在でも使用エネルギーの20%は再生可能エネルギーで賄っているようです。
そのためには、使用エネルギーの削減も欠かせない課題で、建築においても厳しい基準を設けて技術革新を展開しています。
又、建築自体を作らない、つまり古い建物のリノベーションを中心にして、新築工事は現在では建築工事の5%ほどしかないそうです。そして建物のリノベーションは新築と同じ省エネルギー性能と建築の質要求されるもののようです。
ドイツでは、建物の工事費も設計料も日本よりもだいぶ高く、設計、工事の期間も長いのですが、一度作ったものは長く使い続けて行くという伝統があるため、結果的に安くつくと考えるようです。
この辺は、いまだにスクラップアンドビルドを続けている日本では、これから考えて行かなくてはいけない問題だと感じました。
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category:建築
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流山市オオタカの森小学校・中学校
先週の土曜日に流山市に新しく出来た「おおたかの森小中学校」を見学に行って来ました。

新しい小中一貫校に子ども図書館と地区センターが一緒になった延べ22.000㎡に及ぶ大きな建物で、建築家の小嶋一浩さんと赤松佳珠子さんが主宰するシーラカンスアソシエイツの設計によるものです。

曲線を描くバルコニーの外観
外観は雁行する壁とサッシで出来ているのですが、それでは地域の環境になじみにくいということで曲線を描くバルコニーで覆われて、独特な形を見せています。

エントランス部分
学校のエントランス部分は「風の道」と名付けられていて、階段を上って置くまで続き、その名の通り風が通り抜けるようになっています。

小嶋一浩さんと赤松佳珠子さん
風の道で、設計者の小嶋一浩さんと、赤松佳珠子さんにお会いしました。赤松さんは法政大学の先生をしている関係で良くお会いする人です。

多目的スペース
内部はいわゆるオープンスクールになっていて、教室の外は廊下と言うよりもクラス共同の授業などに仕えるように考えられています。
特徴的なのは「L壁」と呼ばれる大きく角がアールになった壁が柱の代わりになっていて、梁もないすっきりした構造になっています。この壁は連続しないで、あくまでもL型のものを組み合わせておいてゆくシステムなので、その間に空間のあきが出て、教室がオープンに繋がる仕組みになっています。普通ならば重々しくなるコンクリート打ち放しの壁が大きなアールのおかげで柔らかな感じがします。

小学校の教室の中
教室の中はこのように扉で占めることは出来ますが、かなり開放的です。

アールを描くバルコニー
そして教室の外に出ると、曲線を描く、ゆったりとしたバルコニーがあります。これだけバルコニーが広いとここでもいろいろなことが出来そうです。

中庭
ところどころにこのような中庭があって、どの部屋も明るく、風通し確保されています。まだ木が小さいですが、数年後、これらの木々が育ってきたら気持ちがよさそうですね。

こども図書館
これは子ども図書館を二階の廊下から覗いたところ。テーブルもカラフルで楽しそうです。

食堂
これは食堂です。大小の窓がいくつか開けられていて、道行く人の姿が見えて楽しそう。

音楽室
これは音楽室。丸い段がイスの代わりになって、ちょっとしたコンサートが開けそうですね。

渡り廊下
最初に入った、「風の道」の2階部分にはこのような渡り廊下があります。

屋外プール
これは庭に突き出たプールの部分ですが、曇りガラスで覆われて中が見えないようになっています。最近の学校は防犯のためにプールが外から見えないようになっているということを初めて知りました。

敷地がゆったりしていることもありますが、建物自体がゆったりと空間が流れて行くような構成になっていて、随所に中庭があり、風と光が十分行き渡る気持ちの良い建築でした。
この日は大勢の流山市民の人たちが子供ずれで見学に来ていましたが、子供たちが一番喜んでいる様子が印象的でした。
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category:建築
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カサ・ブローテ改修工事完了
3月の初めから始まっていた僕の事務所の入っている建物「カサ・ブローテ」の改修工事が完了して、足場が取れました。

道路北側から見たところ

コンクリートの打ち放し面は、今回バイオ洗浄液と言うもので高圧洗浄して、保護塗料に不自然にならない程度に少しグレーの色を混ぜて塗ったのですが、とてもきれいに仕上がりました。どうしても落ちない汚れもあり、竣工時同様とまでは言えませんがかなりスッキリしました。

屋上のラセン階段

屋上にあるらせん階段も17年の間にだいぶ色があせていたのですが、竣工時の鮮やかな色がよみがえりました。色を塗ったところは、工事中の記録が残っていたので、当時の色を再現しています。やはり記録を撮って置くのは大事なことですね。

建物を大事にメンテナンスしてくれるお施主さんに感謝です。

東側正面から

想設計工房の入り口
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