平家琵琶の会―求道会館
今週の金曜日に、本郷の求道会館で行われた平家琵琶の会に行って来ました。

「大原御幸―建礼門院の語る六道沙汰」と題されて、平家滅亡後に出家して京の寂光院に住む建礼門院の元に、後白河法皇が訪れ、平家の盛衰を目のあたりにしてきた建礼門院の話を聞くというくだりです。
俳優の坪井美香さんの語りで、琵琶と横笛、そして打楽器が入ります。
前もって解説していただいているせいもあって、細かなところは別としても話の大筋は解りますし、それ以上に坪井さんの語りの調子が素直に耳に入ってくる気がします。
物語は、やはりことばの調子、リズムがとても大事ですね。
そして、琵琶と横笛、打楽器の演奏が素晴らしく、1時間ほどの演奏が夢の中を漂っているような気がしました。
特に、打楽器が見たこともない不思議な楽器で、独特な空間を作っていたような気がします。後から聞いたところでは、中国で買ったものだそうですが、シルクロードの中央アジアあたりで使われているもののようです。
シルクロード由来の楽器

この日は音楽を聴くことと、もう一つ会場となっている求道会館を見学することも目的でした。
この求道会館は大正時代に浄土宗の仏教者だった、地角常観が若者たちと一緒に寝泊まりして仏法を追求するために宿舎と共につくったものと言うことです。
建築は建築家の武田五一が設計を担当して、当時のモダニズムに傾倒していた武田が、モダンな様式で作ったもので、西洋の教会のような外観とインテリアの中に、正面に仏様を納めた六角の逗子が嵌め込まれた、不思議なものです。

外観

教会風のインテリアに六角堂の逗子

独特構造の軽快な小屋組

この日は、近角常観のお孫さんに当たる、近角真一さんに案内をしてもらいました。実は近角さんは建築家で、50年近く使われずに廃墟の様になっていたこの建物を再生設計した方です。
又、会館の裏にかっての求道学舎があり、こちらも近角さんが再生をして定地借地権付きの分譲住宅として販売されました。この建物が出来た時に建築雑誌で見て興味があったので、こちらも見学できるかと思ったのですが、販売済みで、人が住んでいるので見学はできませんと言うことでした。
集合住宅となっている求道学舎


この日は、千年前の平家滅亡の語りを聞き、100年前に建設された建物のお話を聞き、不思議な時間旅行をした気持ちになりました。
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category:音楽
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クローンタイル
タイルを補修した外観

8月から始まっていた、上野の駅前のビルの改修工事がこの土曜日ですべて終わり、引渡しに立ち会ってきました。

この建物は僕が設計したものでは無いのですが、友人の紹介で工事見積もりが妥当かどうか見てほしいということから始まったものです。

築27年のビルなのですが、今までに少しずつ改修工事はやって居るのですが、足場を組んでの本格的な外部改修は初めてということでした。
最初の工事を行った大手住宅メーカーのリノベーション部門がいつも工事を行って、ビルのオーナーである女性はすべて任せてやっていたようですが、今回は金額的にもかなり高額な見積もりになるので、第3者の立場で見てほしいという依頼です。

見積りの金額だけでなく、工事の内容が妥当なものかどうかは素人のオーナーにとっては全く分からないわけで、今までは工事会社を信用するしかなかったわけです。

私の方で見積もりをチェックしたところ、2割ほど減額できる要素があり、内容的にも工事の方法、材料等変更した方が良いところもありました。
そうなると見積もりのチェックだけでなく、実際の工事も監理をしないと意味が無いということになり、工事の要点だけでも監理を引き受けることとなりました。

工事の中で比較的費用のかかっているところが、外壁のタイルのひび割れ部分を張り直す工事です。使われているタイルが現在ではないものなので、新たに焼成して作るとなると必要以上の量を作ることになりかなり高額なものになるのです。
その時業者から提案があったのがクローンタイルと言うものでした。形の同じタイルを探して、現場のタイルに合わせて色や模様を特殊な塗装で再現するというものです。これですと1枚から注文することが出来て、微妙な色合いも再現できるというものです。

元のタイルと再現したクローンタイル

写真の割れているタイルは、現場から剥がしてきたものですが、もう1枚はそれを再現したクローンタイルです。確かにほとんど見分けがつきません。クローンとはよく付けたネーミングですね。
現場で何カ所かあった張り替え部分も、出来上がってくるとほとんど見分けがつきませんでした。

コンクリート打ち放し面の補修

もう一つ気になっていたところは、建物の再度一面がコンクリート打ち放しになっているところで、汚れだけでなく鉄筋がさびて、コンクリートが割れているところが何カ所かありました。
今回は、コンクリートの悪いところは削り出して、鉄筋の錆止めを行ったうえでモルタルで補修をしています。さらにその上に、コンクリートの保護を兼ねて、打ち放しを再現する塗装を行いました。
仕上がってみると、こちらも新しいコンクリートの様にきれいに見えます。

これから新築よりもリノベーションが重要な時代になってくると言われていますが、リノベの現場でも、いろいろと新しい技術が出てきていていますね。
Posted by kozyken
category:建築現場
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ル・コルビュジェ×日本」展
国立近現代資料館入口

この間の土曜日は、湯島にある国立近現代建築資料館で開催されている「ル・コルビュジェ×日本」という展覧会に行ってきました。

ル・コルビュジェは、現代建築史の中で最も重要な建築家で、専門家でなくてもご存知の方が多いと思います。
コルビュジェが日本だただ一つ設計した建築が、上野の公園内にある、国立西洋美術館です。この西洋美術館を中心に、コルビュジェの弟子だった3人の建築家、前川國男、坂倉準三、吉阪隆正の活動を紹介する展示会です。

展示会場

この国立西洋美術館の道路を挟んで正面に、弟子の前川國男が東京文化会館が設計したことはよく知られています。
会場にはこの西洋美術館と文化会館の断面の形が同時に見られる模型があって、とても興味深いものでした。
この会場である国立近現代資料館は、日本の近代、現代の建築資料を収集、保管するために3年ほど前に文化庁の中に作られたものですが時々このような建築にかかわる展示会を行っています。丁度、旧岩崎邸と同じ敷地内にありますから、岩崎邸を見学して、そのあとこの資料館を訪れると楽しみながら建築の勉強もできる最適なコースになっています。
僕はここを見た後、不忍池を中心の弁天島を通って、上野公園の中を散策して帰りました。

西洋美術館と文化会館の前で

資料館にあった模型で見た西洋美術館と文化会館の前では、若い女の子の引くバイオリンに合わせてマリオネットがバイオリンを弾く、大道芸をやっていました。とても楽しい演奏で思わず拍手をしてしまいました。
上野公園には、時々来ることがあるのですが、いつ来ても楽しいところですね。
Posted by kozyken
category:建築
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イタリアの庭園―講演会
前にもブログで書いたかもしれませんが、僕が参加している法政大学建築同窓会の活動のひとつとして、今年の春から、海外で活躍している卒業生を講師に招いて講演をしてもらうという企画を担当しています。
その二回目として、先日イタリアで庭園学を学んでランドスケープデザインの事務所を主宰している安部さんと言う女性に講演をしてもらいました。

講演会の様子

安部さんは大学を卒業後、国内の大手ゼネコンのランドスケープ部で7年間仕事をした後、考えるところがあって、イタリアへ留学し、卒業後はいろいろな関係の中からイタリアで仕事をして、帰国後は東京に事務所を開いています。

生活の安定した大手の建設会社をやめて、先のわからない世界へ飛び込んでゆく勇気にも感心させられますが、いつも新しい人間関係が出来て、それが仕事にも繋がって行くところが中々すごいと思います。彼女は、「私は知らないうちにいろいろな人とつながりが出来て運がいい」と言いますが、それだけではなく、いつも前向きに新しい知識を得る努力があるのだと思います。

この講演の目的として、先輩たちがどのようにして自分の道を切り開いていったのかを、現役の学生たちに聞いてほしいということがあります。その為に、建築学科の教室を借りて、先生たちにも協力してもらい、学生たちに宣伝しているのですが、中々学生の参加が少ないのが悩みの種です。この日も学生の参加は、10人ほどでしたが、それでも会の後の懇親会まで付き合ってくれて、ワインを飲みながら学生と話が出来たのはうれしいことでした。

世界遺産の風景の一部トスカーナ郊外のガーデン

フィレンツェの斜面ガーデン

安部さんに見せてもらったスライドの中で、トスカーナの風景と庭園がとても印象的でした。映画などで良く見るトスカーナの丘陵地帯にぽつぽつと古い農家が残る風景ですが、この景色を守るためにはずいぶん厳しい建築制限があるようです。
新しい建物を建てることが非常に難しいので、みんな古い農家を改造して、レストランやB&Bなどにしているということです。外は古いけれど中はきれいで、設備も新しくしているのですね。そのようにして、この景色が保たれて、それが観光にもつながって、産業になっているという仕組みは日本でも見習うべきではないかと思いました。
Posted by kozyken
category:日記
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「構造と感性」
構造と感性

僕の学生時代の先生で、今は法政大学の名誉教授の川口衞先生が「構造と感性」(鹿島出版会)と言う本を書かれて、サイン入りの本をいただきました。
この本は2007年から2015年までの間に法政大学建築同窓会の主催で10回ほど川口先生の講義を聞く機会がありその時の講義記録をまとめたものです。
僕は、ほぼ毎回この講義を聞いて、とても感銘を受けた記憶があります。
建築の構造はある与えられた予見があればだれでも計算によって同じ結果にたどり着く、と思われがちですが、実は設計者の判断、感性によって大きく変わります。
構造設計が単純な技術の問題ではなく、大きな創造性を秘めているということも、この連続講義を受けたことで考えさせられたことのひとつです。
この本の題の通り建築構造が、科学の世界と感性の世界にまたがっているということです。

丁度この本の出版に合わせたかのように、今年の春に川口先生が日本建築学会大賞を受賞したというニュースが入りました。そこで我々卒業生が中心となって祝賀会を企画することとなり、この3カ月ほどはその作業に追われることとなりました。
会場を予約して招待者リストを作り案内状を出して、予算を組んで、ケータリングの業者と交渉をしてと慣れない作業は思って以上に大変でした。最終的には、参加者が300人近くに膨れ上がり、建築界の有名人も多く来るということで、会場の設営、当日の対応など気を使うことが後から後から出てきて気が抜けない毎日でした。

祝賀会会場

当日、僕はカメラマン役を買って出ていたので、休む暇もなく写真を撮りまくっていました。もっとも写真を撮るのは嫌いではないので、楽しみながらやっていたのですが。

祝賀会の途中で構造実験を披露する川口先生
最軽量構造の実験

途中、津軽三味線のアトラクションもあり、先生も自慢の民謡を披露しました。
浅浅草の民謡酒場「追分」の三味線をバックに謡う川口先生

最後に花束の贈呈は、法政の教授で、設計事務所シーラカンスを主宰する赤松佳珠子さん。
赤松先生から花束贈呈
Posted by kozyken
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