山口蓬春記念館再訪
先週、神奈川近代美術館鎌倉館を訪れた帰りに葉山にある山口蓬春記念館に寄ってみました。

日本画家である山口蓬春がここに建っていた日本家屋を1948年に買い取り、その後芸大の同窓生だった建築家、吉田八十八に依頼して、画室を増築、さらに内玄関と茶の間を増築したものです。

葉山の海から東側の山を登りかけたところに敷地があり、門を入ると斜面になった庭を登ってアプローチするようになっています。その正面入り口周りは最近改装されていますが、入って左側の画室と、右側のはずれの茶室と内玄関が吉田八十八の設計になるものです。

吉田八十八は近代数寄屋の創始者として知られますが、和風建築ベースにして近代的なデザインセンスを盛り込んだのだといえると思います。

増築部分の裏玄関へへの路地
内玄関へのアプローチは狭い路地になっています。

増築部の和室
増築部の茶の間。いかにも吉田八十八らしい和室で天井に埋め込まれた照明に天井の目地が通っていたり、障子の欄間の鴨居の細いところなどが特徴的です。

画室への廊下
画室へと至る廊下のつくりも八十八流。

廊下と筆洗いの流し
流し脇の少し角度を振った壁と、障子の桟が美しい。

画室南側の大きな開口
画室の南側に庭を望む一面のガラス戸、その桟の細さが際立っています。

画室、裏庭への窓
北側にも裏庭に面して大きな開口部があり、やはり細い桟のガラス戸が入っています。

画室裏庭
その裏庭が後ろに山を背負って、とても良い雰囲気を出しています。

画室南側外観
南側の庭から画室を見るとこんな感じです。

画室天井の照明
画室の照明は天井に埋め込まれてシンプルなものですが桟の割り付けが美しく、凛とした気品があります。

画室外部の手摺
南側の大きな開口部に、外側からつけられた手摺もとても凝ったディテールをしています。

後記:
3年ぶりにここを再訪して気になったことがいくつかありました。
一つは内玄関から出た先に、依然来た時にはなかった別館がたてられていたのですが、これが壁も天井もビニールクロスを張った、安っぽいメーカー住宅でした。
もう一つは2階の部屋が、これは吉田八十八の設計ではありませんが、それなりに雰囲気のある和室なのですが、その隣の附室に当たる部屋がペラペラの新建材を使って改装されていたことです。
ここは、山口蓬春の画業を展示するとともに、吉田八十八という建築家の建物も鑑賞される場所ではないかと思います。パンフレットにも吉田八十八の名前が出てくるのですから、改修するときにも彼の作品にリスペクトするべきなのではないかと思います。
記念館を運営する人の認識の低さがちょっと残念でした。
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神奈川県立近代美術館・鎌倉館
正面外観

神奈川県立近代美術館・鎌倉館(通称カマキン)が今月いっぱいで閉館されるというので、先週仕事の合間を見て行ってきました。

この建築は、1951年に建築家坂倉準三の設計で竣工した、日本の近代建築を代表する建物です。
坂倉準三はフランスの巨匠、ル・コルビュジェの弟子でこの建物にもその影響が色濃く表れていますが、また日本的な雰囲気も漂う美しい建物です。
僕は昔からこの美術館が大好きで、日本のモダニズム建築の代表をいくつか挙げろと言われれば必ずトップに入るのではないかと思います。

51年といえば戦後もまだ6年目で日本は全てにわたってものの足りない時代でしたが、この建物も決して高価な材料は使っていません。1階では鉄骨の柱と大谷石、2階はスレートのパネルを張った、とても安価な材料だけでできています。しかしそのことでかえって、純粋で清々しい空間ができているように思えます。
池側から見る1階テラスの外観

鉄骨柱と大谷石と正方形の窓の構成

特に1階の中庭と蓮池に面したテラスのつながり方、彫刻を展示した内部とも外部とも言えないその中間のような空間の連続がとても豊かな雰囲気を出しています。
2階テラスより中庭を見下ろす

1階の屋外彫刻展示スペースと中庭

中庭から彫刻展示スペース、池に面したテラスを見る

池に面した1階のテラス

細い鉄骨の柱が池の中の基礎から立ち上がる

2階のテラスと中3階へ上がる階段

中3階の部屋(会議室?)

この日は、ウイークデイだったにも関わらず多くの人が閉館を惜しむように、この中庭やテラスでくつろいでいました。
これだけ愛されている美術館なのだから閉館しないで続けてほしいと思うのですが、土地の所有者である鶴岡八幡宮との関係で存続できないようです。ただ、建物は解体しないで利用されるようなので、救いがありますが、それでも・・・・と考えるのは僕だけではないと思うのですが。
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松本の古民家改修工事―施主によるセルフビルド
去年の春から何度か現場に通っていた、松本市郊外にある古民家の改修工事は、9月に大工さんの工事部分が終わって、残りの部分は施主が自分で工事をやることになっているという話をこのブログにも書きました。

施主のセルフビルド工事はまだ完成しているわけではありませんが、ここまでやりましたと言う写真を去年の暮れに送ってもらいました。

キッチンになる広い土間の隅に薪ストーブを置くのですが、その周りに耐火と蓄熱する目的でレンガを積んでいます。その工事も施主の家族でやり、無事冬に備えて薪ストーブが焚けるようになりました。
レンガ積みの作業
薪ストーブの設置完了

その薪ストーブの煙突をどのように取り付けるかが以前から問題になっていました。屋根がわらぶきなので、そこを貫通するのが防火上問題なことと、壁から抜くと庇が深いので固定できないのです。そこで独立して煙突を支える鉄骨のフレームを作ったらどうかという提案を僕の方からしておいたのですが、それも見事に出来上がっていました。
煙突の支柱設置作業
設置し終わった薪ストーブの煙突

キッチンの土間にはモザイク状の石を張るのですが、これも自分たちで工事をしています。その上に、やはり自分で作ったキッチンと、業務用のステンレス調理台を組み込んでいます。
土間のモザイク石張り
キッチンのセット

壁にはタイルを張ったり、漆喰を塗ったりする工事がまだ残されているのですが、これが終わったら、一度写真を撮りに伺おうと思っています。
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category:住宅
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フランク・O・ゲーリー展
会場風景

昨日の土曜日に、六本木ミッドタウンにある21-21DESIN・SIGHTで開始されている建築家、フランク・O・ゲーリーの展覧会、「I have an idea」へ行ってきました。

ゲーリーは70年代から活躍を始めたアメリカの建築家で、97年に完成したスペイン、ビルバオのグッゲンハイム美術館のデザインで世界に衝撃を与えました。そのデザインは今までの建築の概念を超えた有機的で彫刻的な形が特徴です。その後も、ゲーリーは世界中に次々と新しい形態の建築を作り続けています。

そのゲーリーの建築がどのようにして出来上がってゆくのかを展示しているのが今回の展覧会です。普通建築の展覧会というと模型とともに詳しい図面が展示されるのが一般的ですが、今回の展覧会では一切図面がないことが目を引きます。複雑な形態をしたゲーリーの建築は二次元の図面では表現できないことから、模型と最初の発想の元となっているオブジェなどが展示されています。

二次元の模型で表現できないということは、設計作業も図面ではなく模型で行われています。最初の模型から次々にいくつもの模型で形態が変化する様子が展示されていてとても興味深いものでした。

しかし実際に建設工事を行うためには模型を見ながら工事を進めるわけにはゆきませんし、構造設計、設備の設計も必要になってきます。それをどのようにやっているのかというと、模型を三次元スキャナーで3D図面に起こし、同時に構造、設備の配管等も3Dで設計してゆくのです。さらにすごいのは、3Dの図面で複雑な形態の建築材料をすべて制作可能な形に捉えて、積算まで行いコストの調整まで行うということです。

ゲーリーは、これをゲーリー・テクノロジーというコンピュター専門の別会社を作り、そのためのソフトの開発まですべて自前でやっています。このように材料の分析からコストまでトータルでとらえることによって無駄をなくし、あの複雑で奇妙な形のビルが、普通のビルと同じ予算でできると言っています。(僕はちょっと怪しいと思っていますが)

設計の方法について語るゲーリーのビデオ
発想のもととなるオブジェの展示と、ビデオでゲーリーが設計の過程について語ります。

設計途中の模型の変遷
設計が進むにしたがって、模型はどんどん形を変えてゆき、模型の材料も、紙から、布、金属などさまざまなテクスチャーを駆使して作ってゆきます。

模型

フォンダシオン・ルイ・ヴィトン
パリに最近竣工した、ルイヴィトンのビルの模型。

段ボールの椅子
ゲーリーは椅子のデザインも行っていて、このダンボールによる椅子は断面の模様がとてもきれいでした。

会場の21-21デザインサイト
会場の21-21デザインサイトは、名前の通りデザイン関係の展覧会専門の美術館で、建築家安藤忠雄の設計です。
Posted by kozyken
category:建築
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あけましておめでとうございます。
今日から仕事始めです。

ゆっくり年末年始のお休みを過ごしたので、すぐにはエンジンがかからず、まずはいただいた年賀状の整理、出し忘れた人への返事を書いたりしています。

早稲田穴八幡宮

三朝庵

お昼休みに、近所にある穴八幡宮へ新年のお参りに行き、帰りにすぐ向かいにあるお蕎麦屋さん、三朝庵で縁起物のおそばをいただき、早稲田界隈をぶらぶらと散歩してきました。冬休みの学生街は人もまばらで、ひっそり静かで、新年の散歩にはもってこいでした。

 3軒の木造住宅

 早稲田大学演劇博物館

今年の抱負などというほど気負った考えはありませんが、これからデザインと環境問題は常に切り離せない関係なることだけは間違いのないところ。
少しでも、気持ちの良い住みやすい住宅をコツコツと作ってゆきたいと思います。

今年もよろしくお願いします。
Posted by kozyken
category:日記
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