南イタリアの魅力的な街(1)―サガローロ
今回のイタリア旅行で訪れた魅力的な街を少し紹介しようと思います。
まず最初は、前回のアルベルゴ・ディフーゾでも紹介した「サガローロ」

崖の下から街を見上げる

街の外に谷を挟んで広がる森の緑

ここはローマから東へ電車で30分ほどのところで、駅から迎えの車で10分もゆくと、そこだけポッコリと持ち上がったような小高い丘の上の旧市街に着きます。
街の周りは緑の森に囲まれた美しい街で、ローマから30分のところとは思えない環境です。

街の平面図
街の中心を平面図で見るとこんな感じです。

街の断面図
街を横断面で切るとこんな感じになります。正確な断面図がないので、街を歩いた感覚で書いたもので、あくまでもイメージ的なものですが。

街のメインストリート

教会前の広場

町の中心部は南の宮殿前の広場と、北の教会前の広場を結ぶ、長さがほんの150mほどのメインストリートで、ここを尾根として西と東に傾斜した土地にびっしりと建物が並んでいます。メインストリート沿いにカフェやレストラン、バルなどがありますがそんなに人通りが多いわけではなく、一日老人たちがカフェでおしゃべりをしている姿が印象的でした。

メインストリートとほぼ平行に西側と東側に一本ずつ道がありますが、それらと直行して東と西に向かう道はどれも急な斜面のせいで階段状になっています。もちろん車は入ってきません。

レベルの差を上手に利用した魅力的な空間
その階段状の道に沿って魅力的な空間がちりばめられています。

階段を下りると、共用の小さな広場のような空間が
階段を下ってゆくとこのような数件の家が共有する小さな広場があり、どの家もここからアプローチするのですが、さらに各家のレベルがまちまちなので、それぞれに階段が付いていたりして複雑な広がりを見せています。夕方になるとみんなこの広場に出てきておしゃべりに興ずるように、コミュニティーの場にもなって居ます。

いくつかの迷路のような空間を下ってゆくと崖に面した広場へ
一つの広場から曲がりくねった道をさらに下ってゆくと、また同じような広場に出て、最後には崖に行きあたって行きどまりとなります。
このような道と広場が、メインストリートと直行するように何本もあり、すべて形も大きさも違うために複雑で魅力的な空間になっているのです。

トンネル状の道路
また、道路の上に家がかぶさって、道路自体がトンネル状になっているところも多くあり、その空間の変化も魅力を作る一因となっています。道路が先にできたのか、建物が先にできたのか解らない不思議な感覚になります。

パスタパーティーで
街について最初にアルベルゴ・ディフーゾのレセプションで今夜パスタパーティーがあるけれど参加しない、と誘われてわけも解らず、参加しますと答えたのですが、参加者全員で料理を作って食べるという会でした。火曜日がパスタパーティーで、金曜日がピッツアパーティーだそうで、車で10分ほどのところにある会場には立派なピッツア窯もありました。
料理といってもパスタをゆでて、みんなでソースを作るだけの簡単なものですが、出来上がったパスタとワインでわいわい話をしながら食べるのは楽しい体験でした。
Posted by kozyken
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アルベルゴ・ディフーゾ体験
今週の水曜日に、2週間ほどのイタリアの旅から帰ってきました。
出発前に少し書いておいた、アルベルゴ・ディフーゾのことを報告します。

この旅の中で、3か所のアルベルゴ・ディフーゾに滞在しました。
一つはナポリから100kmほど山の中に入った「カステルヴェテーレ」という人口1700人ほどの小さな村、もう一つはシチリアのシラクーサから100kmほど西に行った小さな町,「シクリ」そして最後が、ローマから東へ電車で30分ほどのやはり小さな村「サガローロ」でそれぞれの町の違いはありますが、共通項もいくつかあります。

まず、どの町も独特な魅力を持っていますが、あまり知られているところではなく、ほっておくと過疎の町になりそうなところです。
そこで町の人たちが、自分たちの街の魅力をアピールするように努力している。特に若い人たちが中心になっているようでした。
アルベルゴ・ディフーゾとしては、宿泊棟、レストラン棟、レセプション棟などが町の中に分散しているのですが、それらの建物は僕が経験した中ではすべて新築ではなく、既存の住宅や、店舗の建物などを改装して利用しています。その改装も、街の雰囲気に溶け込むように上手に計画されていますが、設備などは新しいものに取り換えられて快適さを確保するように考えられています。

まずは、カステルヴェテーレ

お祭りの行列
僕達が行ったときはちょうど町のお祭りの最中できれいに着飾った少女たちがマリア像の神輿とブラスバンドとともに行進していました。

石造りの街並み
町の一段下がった斜面にご覧のような石積みの家屋が並ぶ魅力的な古い町並みが残っています。

アパートを改装したと言う宿泊棟
その中のこの建物が僕の泊まった宿泊棟です。建物の一部は千年前にさかのぼる古いものだそうです。

寝室
内部は広く、天井も高く、漆喰の壁と屋根の野地板をそのまま表した伝統的な民家の作りです。このほかにキッチンとダイニング、バスルームが付いていました。

食堂
食事は、50mほど離れたところにある食堂でします。ここもまた雰囲気のあるインテリアで、朝食はご主人が手作りした何種類ものパンが用意され、ジャムや果物、チーズ、ジュースにコーヒーもあって、豪華ではありませんが心のこもったおいしい料理でした。

次に泊まったのが、シチリアのシクリ。ここは近くにラグーサやモディカといったバロックの町として知られる有名な観光地があるのですが、シクリはあまり知られておらず、旅行中イタリア人にシクリに行ったといってもほとんどの人が知りませんでした。
このあたりの町は、17世紀の地震で壊滅した後バロック様式で再建されたところが多く、ライムストーンのような淡いクリーム色の石と漆喰でできた街並みが特徴です。
シクリの街並み

貴族のパラッツオを改装した宿泊棟
泊まったのは、貴族のパラッツオを改装したという豪華な建物でした。

中庭
受付を済ませるといったん中庭のような空間に出て、そこから各部屋へアプローチするようになっていました。

ベッドルーム
部屋の中はこのように天井が高く、アーチが重なった素敵なインテリアです。たぶんしっかりしたデザイナーがかかわっているのだと思います。壁は外壁と同じ淡いクリーム色の石と漆喰で統一されていました。

バスルーム
バスルームも大理石を使ったシックな作りで、便器や水栓はモダンなデザインの最新のものが使われていました。

最後に泊まったのがローマ近郊のサガローロという町です。

ここは、町全体がポッコリと持ち上がったような独特な地形の上にあり、細長い街の両側は写真のような崖になっているため、メインストリートから一歩わき道に入ると複雑な路地を形成して、それが魅力的な空間となっています。
崖の上に立つ町

宿泊棟の住宅入口
僕が泊まったところは、このような一軒家の住宅を改装したところで、家のわきの道を階段で下ってゆくと崖に面した行きどまりとなって、その向こうに向かいの森の緑が見えました。

ダイニングキッチン
玄関を入ると立派なキッチンを備えたダイニングルームになっています。僕は1泊しただけですが、数日滞在するならば、ここで自炊するのも楽しそうでした。

リビングルーム
その奥にリビングルームがあり、ソファーにテレビも備えてあります。

ベッドルーム
2階に寝室があります。天井が高く、梁や野地板を表したインテリアは民家のようで、この町に住んでいるような雰囲気を味わうことができました。

水回り
水回りも新しい設備で使いやすいものでした。


以上、3か所のアルベルゴ・ディフーゾを体験して強く思ったことがあります。
魅力的な街並み、素晴らしい宿泊施設に十分満足しましたが、それ以上に施設を運営する若い人たちのホスピタリティーに感じ入るところがありました。
カステルヴェテーレではワイナリーを案内してもらったり、手作りのおいしいパンをいただいたり、またシクリでは宿泊施設の表にあるカフェで何人かの町の人たちとカプチーノをごちそうになり2時間近く話し込んだりしました。また、サガローロではパスタパーティーに誘われて、20人ほどの若者たちと一緒に料理を作り、ワインを飲みながら話をする機会もありました。
また、町によっては一緒に街歩きをして町の歴史などを説明してくれるツアーもありました。

日本でも最近、地方活性化の必要と相まって、アルベルゴ・ディフーゾに近い施設ができつつあります。ここで大事なのは物を作るだけでなく、ホスピタリティーがキーになりそうな気がします。
Posted by kozyken
category:建築
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