南イタリアの魅力的な街(4)―シラクーサ
ナポリ以南の南イタリアの街は、歴史的に古代のギリシャの植民地に始まって、ローマの支配、アラブ、ノルマン、スペインと様々な文化が融合しているところが魅力の一つですが、特にシチリアに来るとその傾向が顕著になってきます。

シチリアの南東に位置するシラクーサは、ギリシャの遺跡が集まる本土側と、中世以来の街並みが迷路のようにつながる、オルティージャと言われる島からなっています。島といっても本土と2カ所にある橋でつながっていて、ほとんど半島といっても良い地形です。

ドゥモウ広場
そんなオルティージャの中心がドゥモウ広場です。

ドゥモウ正面
そのドゥモウ(大聖堂)がj実に興味深い建物です。正面から見ると立派なバロック様式の教会なのですが、脇に回ると古代ギリシャのドリス式の円柱が壁の間に見えます。
ドゥモウ左側側面

実はこの建物は、もともとは前5世紀にギリシャ人が作ったアテナ神殿だったのです。ローマ時代はミネルバ神殿として使われ、7世紀中ごろビザンツの教会へと改修され、さらに17世紀の大地震の後、バロックの聖堂として大きく改修されたそうです。
実にこの建物一つの中に様々な文化が混交している感じです。

ドゥモウ内部、側廊下部分
そして内部でも、様々な様式を見ることができます。

アルトゥーザの泉と海に面したレストラン街
建物の合間から海が見える
シラクーサの街の魅力は、今まで見てきた街のような複雑な高低差のある地形ではないのですが、オルティージャが比較的狭い島なのでどこに行っても道の向こうに海が見えるところにあるのかもしれません。

夜の路地裏
そして夜ともなれば、狭い路地のあちこちにあるレストランが道をふさぐようにテーブルを出して、多くの人々でにぎわうようになります。海の幸をたっぷり使ったシチリア料理を楽しむことができます。

ディオニッソスの耳

本土側のギリシャ遺跡の一番の見どころは、「ディオニッソスの耳」と言われる洞窟で、かっては牢獄として使われていたものだそうです。思った以上に大きくて迫力のある洞窟でした。
そして、野外劇場も有名なのですが、僕が行った時は演劇の準備のためか石の座席の上に木の板が被せてあり、ちょっとがっかりでした。
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宮脇檀さんの住宅―Villa 福村
今週の日曜日に、僕の学生時代の恩師でもある建築家の宮脇檀さんが設計して、1975年に完成した住宅の見学会に那須まで行ってきました。

宮脇さんは、コンクリートと木造の混構造の住宅を多く設計したことで有名です。
固くしっかりしたコンクリートで住まいの周りを守り、人の暮らす内部では木の柔らかさとヒューマンなスケールを感じられるように作るという考えから来ています。

今回見学した住宅もそのような混構造の住宅ですが、自然豊かな那須の環境の中に在って、2階+ロフトのコンクリートのボリュームに住宅の中心になる、キッチン、リビングを含む木造部分がぶら下がるような独特な形をしています。

アプローチ側からの外観

東側から見る
最初に遠くから初めてこの建物が見えたときはこの形がとてもきれいで、ちょっと感激しました。コンクリートと木造部分のバランス、プロポーションがとても良いのです。
実際には木造部分は吊られているのではなく、下から斜めに出ている方杖で支えられているのですが、構造的にちょっと無理があったようで、あとから下に柱を立てていました。
スレート葺きのような屋根もあとからつけたもので、当初は屋根もコンクリートの打ち放しだった様です。

北側のコンクリートのファサード
北側のファサードには小さな窓が規則正しく8個開いていますが、コンクリートのパネルの目地にきれいにぴったり納まっています。これでち密な設計がされていることがよくわかります。

2階のリビング・キッチン

リビングから階段方向を見る
狭い階段を上ると2階の木造部分がこの住宅のメイン部分で、ダイニングテーブルとキッチン家具が一体となって作りつけられていて、周りがすべて木製の建具で解放される気持ちの良い空間となっています。

リビングから階段側を見る
キッチン家具の埋め込まれたガスコンロの脇に灰の入った火鉢のようなものがありました。ここで炭火で、魚や肉を焼くのでしょうか?面白い工夫ですね。

吊り押入れのある和室
居間から少しスキップして畳の部屋が二つあります。

ロフトの書斎
さらに、梯子を上がるとロフト部分に、いかにも男の隠れ家といった雰囲気の書斎がありました。

今回の見学会は、この住宅が売りに出されているということで、不動産屋さんが立ち会っての見学会でしたが、40年以上たっているとは思えないほどきれいに使われていて、これからもこの住宅の価値がわかって大事に住む人が現れるとよいと思います。
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category:住宅
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南イタリアの魅力的な街(3)―タオルミーナ(シチリア)
タオルミーナはシチリアの北東部の海に面した美しい街で、今では夏のバカンスシーズンにヨーロッパ中から観光客の集まるリゾート地として有名です。

他のシチリアの街と同じく、ギリシャ時代にさかのぼる古い歴史を持ち、その後のローマ時代、アラブによる支配、中世のノルマンの時代と様々な文化が融合して魅力的な街並み空間を形成しています。

多くの魅力的な街が山の斜面に形成されているように、タオルミーナもイオニア海から急な斜面を登ったところにあり、すぐ後ろには山がそびえるという独特な地形の中にあります。

4月9日広場から、イオニア海の眺め
街の中央にある4月9日広場から見下ろすとこのように急斜面の下に美しい海の景色が広がっています。海岸に近い所には鉄道の駅が見えます。

4月9日広場
その広場の後ろを見るとご覧のようにすぐ後ろに山が迫っているのがわかります。

ウンベルト通り
街の中央を走るウンベルト通りは、多くの観光客でにぎわっています。

カテドラル
これは、カテドラル。

ドゥーキ・ディ・サント・ステーファノのパラツッオ
そしてこれは、街のはずれにある、ドゥーキ・ディ・サント・ステーファノのパラツッオ。

階段状の道に面したレストランでは多くの人が食事を楽しんでいます

裏通りにはレストランのイスとテーブルが並んで賑わっている
ウンベルト通りから脇の道に入ると、山側に上るか、海側に下るかの階段になっていて網の目のような複雑な道に面して多くのレストランがあります。

60cmほどの幅しかない狭い道も
中にはこんな狭い道も。

ギリシャ劇場
この町で一番の名所は、街のはずれ、海に向かって突き出した丘の上にあるギリシャ時代の野外劇場です。バックにイオニア海の紺碧の海と、タオルミーナの街並みを望む最高のロケーションの中にあります。遥か紀元前3世紀に、ギリシャ人たちはこんなところで演劇を楽しんでいたと思うと不思議な感情におそわれます。

B&Bの屋上からの眺め
僕が泊まっていたB&Bの屋上からも街並みとその向こうのイオニア海を望むことができました。このB&Bでは朝食をこの屋上のテラスで取るようになっていて、これが最高のおもてなしでした。
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東京edoをひらく
東京をひらく

先日、東京建築士会が主催する「東京edoを開く」と題されたシンポジュームに参加してきました。

住宅にしても、その他の建築にしても、現在ではほとんどの建物がその建物の中で機能が完結していているわけですが、その機能を街の中に分散して、街を開いてゆけばもっと街の中での人々のコミュニケーションがとりやすくなるのではないか、そのために何が必要かといったテーマのシンポジュームです。
パネラーの一人の小沢詠美子さんは江戸の文化の研究者で、江戸という町が現在よりも開かれた都市だったというお話がありました。
もう一人のパネラーの宮崎晃吉さんは、建築家ですが学生時代から住んでいた谷中のアパートを改装して、カフェとギャラリーにして、そこで展覧会やライブを開いて盛んに谷中の街とコンタクトを取る仕掛けを作っています。そして、最近新たに古いアパートを宿泊施設として改装したことで、ちょうど僕が最近イタリアで経験した、アルベルゴ・ディフーゾによく似た活動を行っています。

もう一人の田辺泰之さんはAirbnb Japanの代表の人ですが、この、初めて聞いたAirbnbがまた面白いものでした。
2008年カリフォルニアで創業ということですからまだ新しい会社です。当時同じアパートに住んでいた二人の若者が、インターネットで募集した海外からの旅行者を自分たちのアパートに泊めたとこが始まりでした。その時の体験から、インターネットを通じて部屋を提供しても良いという人と、泊まりたいという人を結びつけるシステムを考え出して、今では世界190か国以上で200万件の空き室が登録されているということです。
部屋を提供するホストは、お小遣いが稼げるというメリットがありますが、それ以上に世界中から来る旅行者をもてなして、自分の住む街を案内したりするという文化的な行動に興味を持っている人が多いということです。アルベルゴ・ディフーゾとよく似たところもありますが、個人と個人の関係をネットがつないでゆくような感じがあります。
カリフォルニアで若者が思い付きから始めたことがアッという間に全世界に広がってゆくというところは、マイクロソフトやグーグル、フェイスブックの生い立ちとよく似たところがあって興味深いところです。

面白いのは、どれも今ある建物を利用しているというところで、宿泊施設が足りないから新しくホテルを建設するという発想から遠く離れているところです。箱としての施設よりも人と人との関係を変えてゆくことで、今あるものを利用しながら街を変えてゆくという発想に共感を覚えました。
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category:建築
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南イタリアの魅力的な街(2)―アマルフィー
ナポリ湾の南側にはソレント半島が伸びていて、その半島を超えた南側にティレニア海に面した美しい街アマルフィーがあります。

アマルフィーは中世、ジェノバやピサ、ヴェネツィアに先駆けて、海洋国家として栄えたところで、今は夏にはヨーロッパ中から多くの人が集まる人気のリゾート地です。

街は東と西を急峻な山に挟まれた谷にあり、南側が海に向って開かれた港になっています。

アマルフィーの街はちょうど、前回書いたサガローロと逆の構成になっているのが興味深いところです。
サガローロのメインストリートが尾根筋にあったのに対して、アマルフィーでは谷筋にあります。もともとここには川が流れていて、そこに蓋をしてこの道ができているということです。メインストリート自体が6mほどの幅しかないのですが、ここから直行する道は全て階段になっていて、道幅も人がすれ違うのがやっとなので、車はもちろん自転車も入れません。メインストリートに並行する道が左右に一部あるのですが、これも狭く、ほとんどトンネル状になっていて、一歩わき道に入ると迷路のような路地がつながって、突然上から光の落ちてくるところがあったり、魅力的な空間になっています。

街の平面図
平面で見るとこのように両側から山に挟まれた細い谷に建物が密集しています。

街の断面図
断面で見るとこのような谷になっていて、住宅があるところでも30度ぐらいの勾配があり、その先には垂直に近い岩山がそびえています。

港からの街の様子
港から見ると、このように谷間に建物が密集している様子がよくわかります。

ドウモウ

ドウモウ前の広場
海側から建物の下にある、海の門をくぐると、華やかなモザイクタイルで飾られたドウモウ(大聖堂)がありその前に広場が広がっています。この広場にはいくつかのカフェがイスとテーブルを並べて、お茶を飲んだり食事をする人たちで終日にぎわっています。

メインストリート
これがメインストリートのピエトロ・カプアーノ通り。

メインストリートから脇に入るとすぐに階段状の道になる
そのメインストリートに直行する道は全てこのように階段になっています。

奥に行くに従て道は狭く迷路のように

トンネル状の道のところどころに上から光が落ちてくる

道路に面して二階へ上がる階段
さらに奥に入ってゆくと道はさらに狭くなり、いたるところトンネル状の迷路のような空間が続きます。

上の方から眺める街の様子
路地を上へ上へと昇ってゆくと、ところどころで視界が開けて、街の様子が見えるところに出ます。

泊まっていたB&B
僕が泊まっていたB&Bもこのような迷路の奥にありましたが、中に入ると素晴らしい部屋が用意されていました。きれいなインテリアですが建物自体はかなり古い時代のものらしく、真ん中の柱は12世紀のものだそうです。
イタリアでは、いたるところでこのような古い時代の建物が大事に使われているのを目にしました。
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ウオークラリー
国立西洋美術館

今週の日曜日は、法政大学建築学科のウオークラリーに参加してきました。

毎年この季節に行われている、新入生の歓迎のための街歩き行事です。今年は全部で14のコースが設定されたのですが、僕は東京のル・コルビュジェを見るというコースに参加しました。
ル・コルビュジェというと、ごく最近上野の国立西洋美術館が世界遺産に指定されることになったというニュースでご存知の方も多いかもしれません。コルビュジェの作品は日本にはこの美術館以外にはありません。そこで今回はコルビュジェの弟子と言われている日本人の建築家、前川国男、坂倉準三、吉坂隆正の3人の作品も見ることにしました。

東京都文化会館前で

国立西洋美術館は、その世界遺産の関係なのか大勢の人で賑わっていました。ちょうどイタリアバロックを代表する画家、カラバッジョの展覧会もあったので、これも見ることができました。

西洋美術館前で学生たち

今までの例では大学に入ったばかりの1年生は建築のことをほとんど知らず、コルビュジェの名前すら知らない学生がほとんどだったのですが、今回は事前に学校で調べてきたということで、みんなよく知っていることに感心しました。
一緒に歩いていても、熱心に質問する学生もいて、同行するOBとしては案内係をやっている甲斐があります。
このウオークラリーに僕はもう15年ほど前から参加しているのですが、以前と比べて学生が真面目になったというか、勉強に熱心になっているのが感じられます。
Posted by kozyken
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