大江宏賞公開審査会
昨日の日曜日は母校法政大学へ行き、大江宏賞公開審査会に参加してきました。

大江宏賞とは、法政大学の建築学科創立期の教授で建築家の大江宏先生が退任した時の基金をベースに、大学院の卒業設計の中から一番優れた案に賞を与えるもので、卒業生を中心にした委員会が運営しています。
今年で13回目になるのですが、僕も第一回目からのメンバーになっています。

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この日はあらかじめ選ばれた6人がプレゼンテーションを行い、審査員との質疑応答ののち投票で賞が選ばれました。

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プレゼンのあと壇上の6人の学生に審査員から様々な質問が飛び交います。

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今回受賞したのは、東京近郊のもともとは畑であった土地が、住宅メーカーの画一的な住宅に埋め尽くされて、景色が変貌して行くことに危機感を抱いた学生の案でした。土地の高低差によってかろうじて残された斜面の緑地の中に老人向けの介護施設を計画しています。
彼女の住んでいる土地の変貌を何とか食い止めようとする意志が明確に伝わってくるところが評価されて、他の5人を大きく引き離して大江宏賞に輝きました。

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受賞者にはこのような立派な優勝盾と賞金30万円が贈られます。

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授賞式のあと、学内のカフェテリアでビールを飲みながらの懇親会があります。

懇親会の後は近くの居酒屋で2次会でしたが、建築に対する議論が延々と続いて、ついついそのあとの3次会まで付き合い、帰りは夜中になってしまいました。
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category:建築
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川崎の複合ビル―住宅内部工事開始
昨日は川崎の現場で定例の打ち合わせ会議でした。

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現場は3階の型枠が取れて、天井の断熱材が吹き付けられています。この建物は外断熱で、屋根の部分も外側から断熱しているのですが、壁以上に屋根は大きく熱を受けることと、室内側のコンクリートの蓄熱量を調整するために屋根の内外で二重に断熱を行っています。

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ここは居間になるところですが、南側に大きな開口部が開き、高い天井と相まって良い部屋になりそうです。

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床にはこれから壁になる部分の墨が打ってあります。この壁はよく見るとわかると思いますが、直線ではなく、50mの半径を持つ大きなアールを描いています。これから現場の工事が大変なところです。

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屋根の上では屋根下地になる垂木が仮止めされていました。この黒い垂木はプラスチックの人口木で、腐りにくく、釘の保持力も木より強く、断熱性能も木よりは良いという優れモノです。

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外壁の断熱材の上には仕上げの下地となる樹脂モルタルが塗られ始めています。あとからひびが入るのを防ぐために、プラスチックのメッシュを中に塗りこめるようにしています。昔の土壁が中に藁スサを入れていたのと同じような考え方ですね。
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category:建築現場
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日本橋界隈
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土曜日は、友人と会食の約束で日本橋の三越前で待ち合わせだったのですが、せっかくなので少し早めに行き、日本倍界隈を散策しました。

銀座へは行くことがありますが、日本橋はしばらくぶり、特に日本橋の神田よりは10年ぶりぐらいかもしれません。
三越の前に、コレド室町の高層ビルが3棟も建っていてずいぶんにぎわっているのに驚きました。
このコレドの裏のほうは老舗のお店があったり、ちょっと下町風で中々良い雰囲気です。その一角に福徳神社が再建されたということを最近読んだ本に書いてあったので行ってみました。

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福徳神社は創建が9世紀にさかのぼる歴史があり、徳川家康が入府したころは森や田畑に囲まれた、のどかなところだったようです。(今ではちょっと信じられませんが)家康が何度も参拝をして、徳川期を通じて繫栄していたようですが、明治に入るとだんだんとすたれて、戦後はビルの屋上にかろうじて残されているような状態だったそうですが、室町の再開発で立派に再建されたようです。
高層ビルの合間に小さな広場があってそこに神社がある風景はちょっとホットさせるものがあります。再開発の手法として、歴史的な価値のある神社を取り込むのは、中々上手なやり方だと感心しました。

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三越の隣には新古典様式の三井本館ビルがあります。これは昭和4年にアメリカの設計事務所の設計で竣工した建物ですが、ギリシャオーダーの円柱とその間の窓の取り扱い、軒蛇腹の意匠など見どころの多い建物です。

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さらに三井本館の裏には日銀の建物があります。これは、東京駅を設計した、辰野金吾の作品です。

短い時間の散策でしたが、この狭いエリアだけでも東京のいろいろな顔が見えて、楽しむことが出来ました。
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category:日記
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川崎の複合ビル―屋根スラブ
昨日は川崎の現場の定例会議でした。

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先日打設した、屋根のコンクリートスラブをモルタルで修正していました。この上に断熱材を敷いて、ガルバリューム鋼板で屋根を葺くようになります。又南側は前面に、太陽光発電パネルと、パッシブソーラーの集熱パネルが並ぶようになります。

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屋根のコンクリートスラブは、強度試験の結果所定以上の強度が確認できたので、ご覧のように型枠を外す作業中です。このフロアー全体がオーナー住居になります。

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1階の医院部分は壁と天井の石膏ボードを張る作業が進んでいました。

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パイプシャフトの中には上の階へ行く、設備の排水管、給水管が施工されています。

丁度先週からインターンシップで学生が研修に来ているので、勉学のために現場についてきてもらいました。定例会議も2時間半ほど一緒に聞いてもらっていましたが、専門用語が飛び交う現場の打ち合わせは、なかなか理解が難しいようです。それでも工事の進め方、など雰囲気だけでも良い勉強になったのではないかと思います。
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category:建築現場
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林芙美子記念館
中井の「染の小道」を見た後で、近くにある「林芙美子記念館」に行ってみました。

作家の林芙美子は「放浪記」一躍有名になった後、昭和14年にここに土地を買って家を建てたそうですが、その家が現在では記念館になってなって一般公開されています。
設計は建築家の山口文象に頼んでいますが、林芙美子自身が何度も何度も打ち合わせを重ねて、彼女の意見が随所に生かされているようです。
当時は太平洋戦争間近なこともあり、住宅の面積が30坪に制限されていたそうですが、彼女自身の書斎と画家であった夫、緑敏のアトリエを考えるととても30坪では足りず、二棟に分けて名義をそれぞれ分けることで合計60坪ほどの家になっています。

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敷地は妙正寺川の北側の少し急な斜面にあり、四の坂という坂を上り始めたところに門があります。この日は「染の小道」の一環で、鮮やかな色調の暖簾が掛けてありました。

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門をくぐって、少し上った先に玄関があります。

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玄関に入ると、3畳ほどの空間の右側に客間があり、左に折れて廊下になっています。左側には、南側の縁側とすぐ左にある母の部屋への入り口になっていて、玄関から動線が巧みに分けられている、考え向かれた間取りだと思いました。

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その玄関の間から客間が見えます。売れっ子作家になった芙美子のもとに原稿の催促に来る編集者たちと打ち合わせをする部屋だったのでしょう。

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見学コースになっている、北側の奥の方に書斎の裏庭があります。ちょうど梅の花が満開で、書斎の北側の縁側がありますが、ここがとても良い空間になっています。庭は北側が良いという定石通りに落ち着いた空間で、原稿書きの合間に思索をめぐらすのにはうってつけだったのではないでしょうか。

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南側の庭に回ると、このように2棟に分かれているのがわかります。右側が住居で、左側が書斎や夫のアトリエがあった棟です。

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ここは、書斎の横にある部屋ですが、数寄屋造りの落ち着いた部屋です。仕事関係の応対に使った玄関脇の客間とは別に、もう少し親しい客を招くための部屋だったのではないでしょうか。

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ここが、家族団らんのお茶の間です。

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東南の角に母親の部屋があります。四畳半の小さな部屋ですが中々凝った作りで、僕はこの家の中で一番良い部屋に思えました。照明のデザインも凝っています。

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夫のアトリエだった部屋で、ちょうど朗読会があり、林芙美子がこの家について語った文章を朗読してくれたのがとても役に立ちました。

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ここはお手伝いさんの部屋。寝台列車から思いついたアイディアと語っていますが、まさに二段ベッドですね。

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台所の流しは、テラゾーという人造石で作ったもので、当時としては相当にモダンなものだったのではないでしょうか。水栓が2つあるので、お湯も出るようになっていたようです。

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お風呂も、タイル張りに木の浴槽を埋めこんだもので、ずいぶんモダンなものです。

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その外にはこのようなボイラーが備え付けられていました。最新の設備だったのでしょうね。

この住宅は、山口文象という優れた建築家の感性がいたるところに見えますが、またクライアントとしての林芙美子の感覚も大いに生かされているように見えました。
優れた住宅というものは、建築家とクライアントが共鳴しあって出来るものだと、この家を見て改めて感じました。
Posted by kozyken
category:住宅
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