夏の朝の成層圏
夏の朝の成層圏


池澤夏樹の「夏の朝の成層圏」(中公文庫)を読みました。

僕は池澤夏樹と言う作家が、しばらく前から気になっていたのですが、まだ一冊も彼の本を読んだことはありませんでした。
まあ、読むきっかけにめぐり合わなかったと言うことなんでしょうが。
なぜ気になっていたかと言うと、今年の初めにガルバス・リョサの「楽園への道」を読んだのですが、これが河出書房新社の世界文学全集の二冊目にあたり、この全集が池澤夏樹の個人編集となっています。
その後の出版予定にも魅力的な本がたくさんあったので、池澤夏樹ってどんな作家なんだろうと思ったわけです。

初めての作家の本を読む場合、彼のようにすでに多くの小説を出していると、どの本から読んで良いのか、すごく迷います。それで、本屋に行くたびに色々手にとっては、躊躇していたのですが、先日やっとこの本を買ってみました。

後で気がついたのですが、この本は彼の処女作と言うことです。偶然ですが、これは僕にとってラッキーだったと思っています。処女作が気に入れば、この後もお気に入りの作家として、読んでいけそうな気がします。

ストーリーとしては、南太平洋で、漁船から落ちて、無人島に流れ着いた男の話。
しかし単なる漂流物語ではなく、他者との関係を失ったところで、人間がどのように自分と言う存在を作ってゆくか(または捉えなおしてゆくか)と言う、興味深い話として読めます。

文章の映像的な表現が巧みで、無人島での生活が観念的にではなく、リアルなものとして読者に理解させる力を持っています。
処女作として、相当力を入れて書いた本のように思えますが、これから他の作品を読んでゆくのが楽しみな作家に出会えたと思います。
Posted by kozyken
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