構造と感性 Ⅲ

構造と感性
去年から今年の春にかけて、構造家の川口衛先生のセミナーを聞きにほぼ月に一回程法政大学に通っていました。

そのときの講義録「構造と感性 Ⅲ」が出来たということで、早速送ってもらって読みました。

一度聞いた話なので、どうかと思ったのですが、読み始めたらこれがすごく面白い。セミナーのときから書き加えたところもあるのかもしれないし、こちらの記憶力が怪しいのか、初めての本のように興味深く読むことが出来ました。

この回は、パンタドーム工法といって、地上で組み立てたドームをリフトを使って最終的な形に持ち上げる工法の話です。

川口先生に言わせると、建築は出来上がった状態だけでなく、工事の過程も合理的で美しくあるべきと言うことになる。
面白いのは、ドームが持ち上がって行く過程を、昆虫の変態になぞらえて、「メタモルフォーゼ」と呼んでいることです。そしてさなぎが蝶になる時は、天敵に襲われても無防備な危険な状態であるのと同じ様に、建物をリフトアップする過程は不安定で危険な状態なので、いかにそれを短い時間に、そして安全に持ち上げる方法を考えることが大事だといっています。

ドームを途中のヒンジで折った形は断面だけ見ると非常に不安定に見えるけれども、立体として考えると大変安定しているそうです。(その辺の理論的な話は大変難しいのですが)

もうひとつ、面白かったのは、空間的に効率がよく、かつ安定したドームの形を考えていたときに、第一次世界大戦のとき、イギリス軍の科学者が効率の良いパラシュートの形を理論的に導いたものが、先生の考えているドームの形と同じだったと言う話。兵器と言うものは究極の合理性を求めるから、通底するところがあるのかもしれませんね。


Posted by kozyken
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