ナイン・ストーリーズ
ナイン・ストーリーズ


J・D・サリンジャーの「ナイン・ストーリーズ」を読みました。

九つの物語、文字通りサリンジャー自薦の九つの短編を集めたものです。
以前から文庫本で出ていますが、新たに柴田元幸が新訳で出したもの。

九つの物語はどれも素晴らしいものですが、僕は特に「エズメに―愛と悲惨をこめて」が一番気に入りました。
第二次世界大戦のノルマンジー上陸作戦で、精神に異常をきたしたアメリカ兵と、少女の物語なのですが、絶望の中で、少女の手紙によって希望を見出す話が胸を打ちます。

九つの話はどれも、子供をめぐる物語になっています。

もうひとつ僕が好きなのは「笑い男」と言う話。小学生達を放課後に、おんぼろバスに乗せて、公園へ連れて行ったり、グランドで野球をさせている男の話しですが、「ライ麦畑」の主人公を連想させます。子供達の話と平行して、彼が子供達に話して聞かせる「笑い男」の物語が最後に彼の失恋と重なって、切ない思いが残ります。

この本にはあとがきがありません。サリンジャーは翻訳の条件として、あとがきを付けないように要求したそうです。
読者の自由な想像力で物語を読んでほしいと言うことでしょう。だから、この物語のすばらしさについて語るのはひどく難しいと思えるし、人によって、色々な読み方が出来るともいえます。
又、読む時によって受け取り方が変わるようにも思えます。

読み終わるとすぐに、もう一度読んでみたくなるのはそのせいでしょう。
Posted by kozyken
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