「喋る馬」
バーナード・マラマッド

バーナード・マラマッドの「喋る馬」を読みました。
表題の「喋る馬」を始め、マラマッドの短編を訳者の柴田元幸が10編を選んで、一冊にしたものです。
どの作品も、主人公はアメリカに住む、貧しく、虐げられたユダヤ人です。時には人間でもなく、奇妙にも喋る馬や、ユダヤ鳥と自称する鳥であったりするのですが、ヨーロッパを逃れてきた、ユダヤ人の過酷な生活と、悲哀を描いている点では同じように見えます。
そして、主人公達の悲惨な人生の先には不思議な結末が待っているのですが、それが果たして、問題の解決になるのか、ならないのか、彼らに救いはあるのか、ないのか、読者には判断をすることが難しい。

あまりにも理不尽な運命に、迎えに来た死神に飛びかかって運命を変える男(白痴が先)、自分が喋る馬なのか、馬の中に入って喋っている人間なのか解らずに悩んでいる馬の中から最後に出てきたものは?(喋る馬)、ハーレムに住んで、見習いの天使だと自称する黒人の男(天使レヴィーン)など、どの話も暗い話なのに、シュールなユーモアがあります。

どの話も、味わい深く、面白いのですが、僕は「最後のモヒカン」が特に気に入っています。
なけなしの金を集めて、ローマへジオットの研究にアメリカから来た、ユダヤ人の話です。ローマで物乞いをしているユダヤ人に、書きかけの原稿を盗まれ、何ヶ月もローマの町を探し回り、やがてユダヤ人のゲットーにさまよいこんで行くのですが、そこで彼は大事なことに気づかされるのです。その大事なものが何なのか、それが彼にとってなんなのかは、やはり読者の判断に任されたままなのですが。
Posted by kozyken
category:未分類
comment(0)    trackback(0)

comment
comment posting














 

trackback URL
http://bwv828.blog31.fc2.com/tb.php/315-6ed003e3
trackback