角地のファサード
服部時計店(和光)

先日、「考える人」と言う雑誌を買って、ぱらぱらとめくっているときに、一枚の写真が目に留まりました。

この雑誌は、元々、村上春樹のロングインタビューが出ているので買ったのですが、それとは関係ないところで、終戦直後の銀座4丁目の写真が興味深かったのです。
交差点に建つ、服部時計店(現和光)の建物を斜め向かい側から撮っているのですが、現在そこにある日産のショールームのあたりはすっかり焼け野原で、カメラはしっかり引いた位置に構えて撮っているようです。
回りに残っている建物も、大きな建物がないせいで、この服部時計店の建築がひときわ威容を誇っているように見えます。
僕達は、今でも銀座へ行くと、必ずこの建物を目にするわけですが、今では回りにもっと大きな建物が、林立しているので、この写真とはずい分違った印象で見ることになります。
服部時計店の建物は、昭和の始めごろに、建築家の渡辺仁が設計したもので、ルネッサンス様式の端正なファサードを持っています。
この写真を見ると、角地に建っているこの建物を、渡辺仁はあくまでも交差点の斜め向かい側から見たときに、正面になるようにデザインしたことがよく解ります。
角地に建物を建てれば、必ず二面のファサードが同時に見えるわけですが、それを正確に意識してデザインされた建物は意外と少ないように思えます。

竣工当時は、銀座にも大きな建物がまだ少なかったでしょうから、そのファサードは銀座のランドマークとして、見る人に強い印象を与えたことは、想像に難くありません。
しかし、その時でもこの写真のような見え方は出来なかったわけで、戦災の焼け野原の中で、建築家の考えていたことに一番近い姿を見せているようで、しばらくこの写真から目を離せませんでした。
Posted by kozyken
category:建築
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