村上春樹 「雑文集」
雑文集

村上春樹の「雑文集」を読みました。

これは、村上春樹の今までに未発表だったエッセイや、本の序文、挨拶文や授賞式でのスピーチなどを集めたものです。
小説家となった、ごく初期のものから、最近のものまでかなりの数の文章が載っていて、村上ファンには、なかなか読み応えのある本になっています。

それにしても、村上春樹の文章は、どうしてこんなに読みやすいのでしょうね。書かれていることに、いちいち、そうそう、確かにそうだよなー、とうなずいてしまうのが不思議です。
もっとも、村上春樹の嫌いな人から見れば、なにをつまらないことを言っているんだ、と思えるのかもしれませんが。

一番最初の文章、小説家とは何かに対する答えが、村上春樹の小説に対する考え方を、端的に語ってるように思えます。
小説家とは何か、「小説家とは、多くを観察し、わずかしか判断を下さないことを生業とする人間です。」
「物語を作り、描写する為には多くの正しい観察が必要であり、物語の最終的な判断を下すのは常に読者である。」

これは、一読者としては、非常にわかりやすい説明だと思います。
読者である自分が積極的に、物語にコミットしなければ、その中に入り込めないし、物語に入り込めなければ、そこには物語に感動したり、共感することもない訳です。
村上春樹の作る物語は、僕にはコミットしやすいし、多くの人がそう思っているから、これだけ世界中に多くのファンを持っているのだと思います。

この本を、一通り読み終わって思うのは、人間の思考の基本的なところは、30年経ってもあまり変わらないものだということです。その、思考の基本的なところを信頼できると思うからこそ、長年、その人の作品を読み続けられるのだとも思います。

その様な作家を、何人か持っていると言うことは、読書を趣味とするうえで、とても幸せなことに思えます。
Posted by kozyken
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