イタリア修道院の回廊空間―竹内裕二著
イタリア修道院の回廊空間

竹内裕二さんの新刊、「イタリア修道院の回廊空間」(彩流社)を読み終わりました。

フランスロマネスクの修道院回廊空間から、イタリアへの影響、さらにルネッサンス、バロックまでの修道院回廊空間の変遷が詳細に語られていて、読み応えのある本でした。

美しい写真が豊富なのですが、うれしいのは、図面が多くそろっていることで、竹内さんがご自身で新たに書いた図面も多く、大変な苦労をしたことが良く解かります。
我々、建築を生業としている人間は、写真と図面があると、かなり正確に空間を再現する訓練を受けていますから、これだけ詳細に図面を載せてくれるのは本当にありがたいことです。おかげで、何度も、図面と写真と、文章とを繰り返し繰り返し眺めることになりました。

フランスロマネスクは、素朴などっしりした空間と、素材と光のグラディエーションが魅力ですが、すぐ隣の国なのに、それがイタリアに渡ると、古代ローマからの影響のせいか、ずっとクラシックになるところが不思議です。さらにそれが、ルネッサンス、バロックになると、ずっと洗練されたものになって行きます。それは、修道院のあり方自体の変化もあるようですが。

修道院の中庭、回廊と言う限定された空間から、中世から近世にいたる、もうひとつの南ヨーロッパの建築空間史が描き出されているように思えます。竹内さんがあえて、修道院回廊空間に限って、この本を書いた意図が解かるような気がします。

ヨーロッパ、中世・近世の建築に興味のある方には、ぜひお勧めの一冊と断言できます。
Posted by kozyken
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