バット・ビューティフル
バット・ビューティフル

バット・ビューティフル(ジェフ・ダイヤ―著、村上春樹訳)を読みました。

これはジャズとは何か?について書いた本です。
とはいっても、ジャズとは何かを説明しているわけではなく、7人のジャズプレーについて物語ることによって、ジャズとは何かを表現していると言ったらよいのでしょうか。
7人のジャズメンは、レスター・ヤング、セロニアス・モンク、バド・パウエル、ベン・ウエブスター、チャールズ・ミンガス、チェット・ベーカー、アート・ペッパーです。
これらのジャズメンを描いていながら、必ずしもノンフィクションではなく、大方事実に基づいているのだろうけれど、自由に著者の想像力を働かせて話を作ってゆくように思えます。
文章は、的確だけれど詩的で、モンクの音楽を知っていれば、モンクは確かにそんな男だろうとか、ミンガスの音楽を考えればそんな時にミンガスはそのような振る舞いをするだろう、と言うことが自然と納得できるような書き方です。

あとがきで著者は、ジャズという音楽は文章で批評することが難しい音楽で、優れたジャズ評論というのはほとんど見当たらないと書いています。と言うのは、一つの演奏は常にほかのプレーヤーの演奏によって批評され、そのようにしてジャズは常に新しいスタイルを生み出してきたと述べています。
そこで、ジェフ・ダイヤーは文章の論理的な側面ではなく、詩的な機能を使って、つまり音楽と言葉を直接対置することによって、ジャズとは何かを描く方法を見付けたと言えます。

それにしても、ここに出てくるジャズメンの全員がなんという悲惨な生活を送っていたことだろう。アルコールとドラッグと暴力によって彼らの体はずたずたにされ、音楽的才能の絶頂を迎えた後にみんな若くして亡くなっている。
ジェフ・ダイヤーはジャズとはそのようなもの、若い時にすべてを犠牲にして駆け抜けるようにして生み出されるものだと言っています。
必ずしも同意することはできないけれど、確かに彼らの活躍した50年代、60年代のジャズには、今のジャズには無い緊張感とエネルギーが溢れていたことは確かなことだと思います。
Posted by kozyken
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