無垢の博物館
無垢の博物館

トルコの作家、オルハン・パムクの「無垢の博物館」を読みました。

1970年代のイスタンブールを舞台に、婚約式を控えた裕福な家の若者、ケマルが主人公です。彼は偶然町で遠縁の美しい女性、フュスンに出会い、たちまち恋に落ちてしまいます。
結局、婚約した女性とはうまくゆかず、求めるフュスンはすでに結婚してしまい、かなわぬ愛に悩みながら、彼は親戚の男としてフュスンの家に8年間通い続けるのです。
その間に彼は、フュスンにまつわるあらゆるものをコレクションし始めます。
愛が破局を迎えた後に、彼はこれらのコレクションを展示する博物館を作ります。

これは、純粋な愛を求め続けた男の物語であると同時に、愛という目に見えないものを、ものに置き換える話のようにも読むことが出来ます。膨大な数に上る、愛の思い出となる品々が本の中で、その形、におい、手触りが克明に描かれています。
最後の方で、世界中の博物館をめぐるケマルは、博物館とは時間を空間に置き換える場所だと語ります。そうして彼は、8年間という愛と苦悩の時間を、博物館という空間に置き換えることを思いつくわけです。

オルハン・パムクは実際にこの博物館をイスタンブールの街の中に作って公開しているそうです。
去年そのことを新聞で読んでいたことを後から思い出したのですが、残念ながら今回のイスタンブール行きではすっかり忘れていました。もっとも先にこの本を読んでいなければ、展示してあるものの意味が解らなかったと思いますが。

物語の舞台となるのは、イスタンブールの新市街と言われるところがほとんどなのですが、僕の今回の旅行ではこの新市街に行かなかったこともちょっと悔やまれます。
本を読み終わって、もう一度イスタンブールへ行きたくなりました。
Posted by kozyken
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