目黒区庁舎見学会
昨日は目黒区総合庁舎の建築ガイドツアーに参加してきました。

目黒区総合庁舎は元は民間の千代田生命の本社だった建物を、千代田生命が破たんして売却するときに目黒区が買い取ったもので、村野藤吾の設計による名建築です。

村野藤吾は、日生劇場や、大阪の歌舞伎座、広島のカトリック大聖堂、都ホテルなどを手掛け、モダニズムの理詰めのデザインに対して、独特な感性で感覚的なデザインをする建築家でした。

この日は、ボランティアで案内役をする建築家に解説を伺いながら、約二時間のツアーで、いくつかあるコースの中から僕は和室を中心に見るコースに参加しました。村野藤吾には村野流と言われる独特な数寄屋のデザインがあり、それをぜひ見たいと思ったのでした。

エントランスホールの開口
集合場所の南口エントランスは、千代田生命時代からメインの客用のエントランスだったところで、床も壁も大理石張りの豪華な空間で、低い位置に空いた窓が独特な形をしています。普通ならば四角く開ける窓を面白い形にあけています。イタリアの建築家、カルロ・スカルパを彷彿とさせます。

エントランスホールの天窓
そして天井には楕円形の天窓が2つ1組で4組並んでおり、内側にモザイクタイルの装飾があり、これは四季を表しているそうです。僕にはローマにあるボッロミーニのサンカルロ教会のクーポラを連想させました。

中庭越しに見る本館ファサード
途中の窓から中庭の池越しに本館のファサードが見えます。本来の窓から1mほど離れて細い列柱が並ぶファサードはロマネスクの回廊を思わせる優雅なもので、アルキャストと呼ばれるアルミの鋳物で出来ています。

中庭の池に面して和室がいくつかあるのは、千代田生命時代に社員の福利厚生のための茶室や宴会場だったところです。

大広間柱と壁の納まり
これは、宴会に使われたという大広間ですが、襖の当たる柱が壁から離れていたり、天井に近いところに蟻長押と呼ばれる横材が回っていたりと村野藤吾独特のディテールが見られます。

茶室のアプローチ
中庭に面して4畳半の茶室がありますが、本体は木造ですが、屋根庇をアルミで葺いたり、庇の柱が鉄骨だったりするところも面白いところです。

茶室内部
内部は、裏千家の又隠の写しと言われていますが、ずいぶん村野好みになっています。天井は全面籐を編んだもので間から照明の光がこぼれてきます。

独特曲線の階段
この建物の極めつけはこの階段です。村野藤吾は階段の名手と言われたそうですが、楕円のらせん階段を基礎として、自由に変形した形態は他では見ることのできないものと言えます。

優美でありながら使いやすい手すり
そして手摺の曲線の優美なこと。僕はこの手摺に手を這わせながら上り下りしたのですが、何とも自然に手が行く位置に手すりが流れていて、デザインだけでなく使っていて気持ちの良いものでした。

この建物は竣工してからそろそろ50年近くになります。千代田生命が破たんした時に解体されず、目黒区が買い取ってコンバージョンしたこと。目黒区には先見の明があったということでしょう。日本中を見渡しても、こんなに優雅で美しい庁舎はありません。
今回のような見学会を催したり、ここで結婚式も行われているということです。
Posted by kozyken
category:建築
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