吉田五十八の住宅
吉田五十八の本

今年は年末年始の休暇がカレンダーと重なったため、今日4日までお休みで明日から仕事始めという方が多いと思います。
僕もその例で、たっぷり8日間の休暇を取って明日から仕事始めとなります。

この8日間はお天気にも恵まれて穏やかな日々でしたが、例年のようにどこにも出かけず、一日音楽を聴いたり、本を読んだり、借りてきたDVDで映画を見たりといたってのんびりと過ごしていました。

そんな中で、吉田五十八という建築家の本を少し丁寧に読んでみました。
吉田五十八という人は戦前から活躍して1974年に亡くなった建築家で、和風の住宅を数多く残しています。吉田五十八のデザインは新興数寄屋とも呼ばれて、和風の住宅にモダンな感覚を持ち込んだ作風として知られています。

読んだ本の一つは、ヘヴンリーハウスというシリーズの中の「吉田五十八自邸」で、去年法政大学を定年退職した建築家、富永譲さんの最近の著書です。
実は僕が法政大学建築同窓会の理事をしている関係で、去年の春に富永先生にセミナーの講師を依頼するためにお会いしたときに、この本を執筆中というお話を伺っていました。富永先生はコルビュジェの研究でも有名な方なので、吉田五十八とどう結びつくのかちょっと意外な感じがしました。しかしこの本を読んでみてその理由がよく解りました。

丹下健三に代表される日本の建築家は、ある時期、コルビュジェなどの西洋の新しい建築様式に大きな影響を受けます。そしてその中にいかにして日本人としてのアイデンティティーを見つけるかということに苦労するわけですが、吉田五十八はその逆の方法を取った数少ない建築家と言えます。
吉田五十八のつくる住宅は、畳と塗り壁と障子というどこをとっても日本的な素材で作られていますが、その日本的な素材でいかに現代的な表現をするかということが追及されています。
僕は実際の作品としては、葉山にある画家の山口蓬春邸しか見ていませんが、そのモダンな感覚と、研ぎ澄まされたディテールに随分感心した覚えがあります。

富永先生の本だけでは写真や図面が足りないので、本棚から20年ほど前に読んだ「数寄屋造りの詳細―吉田五十八研究」という本をひっぱり出してきて再読しました。この本には詳しい図面が載っているので、その設計の緻密なことが良く理解できます。

お正月には、なんとなく日本的なものに目が行くということもあるかもしれませんが、表面的なデザインや、素材の次元を超えて、デザインの根底には日本人としての自覚が必要なのだと改めて考えさせられるものが吉田五十八の住宅にはありました。
Posted by kozyken
category:住宅
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