吉田五十八の猪俣邸
昨日は友人たちと、成城学園にある吉田五十八設計の「猪俣邸」を見学してきました。

労務行政研究所の理事長を務めた猪俣猛さんという方が、1967年に建てた住宅ですが、今は世田谷区が買い取り、せたがやトラスト協会が管理をしているということです。
この日は、寒かったせいか我々以外には見学の人は一人だけという贅沢な状況で、せたがやトラストの案内の方に最初から最後まで付いていただいて、2時間ほどかけて吉田五十八の意匠を隅から隅まで十分堪能することが出来ました。

お正月に、吉田五十八の写真や図面をしっかり頭に叩き込んでおいたのですが、やはり建築は実際に見ないと解らないものです。
施主が武家のつくりが好みだったという説明にあるように、数寄屋建築の軽い感じよりも、かなりしっかりした、重みのある建築でした。

門
600坪ほどの広い敷地に100坪ほどの平屋の建物と日本庭園が配置されています。
入口にはこのような立派な門がありますが、シンプルで屋根と土塀笠木の水平ラインの重なりがきれいです。

玄関正面の引き戸
玄関入り口は紙障子風の引き戸ですが、実はガラスの和紙を張っています。壁も日本建築らしく柱の見える真壁に見えますが、この柱は実は化粧の柱でこの中に構造柱が隠れていて、大壁を真壁風に見せています。これは吉田五十八が良く使う手法で、火災や地震に弱い真壁づくりを大壁で表現する方法です。この壁は20cmほどの厚みのあるしっかりしたもので、引き戸も壁の中に引きこまれるようになっていました。

玄関から左に延びる壁
入口の壁は左の方に延びて行って途中から30度ほど角度を振って伸びて行きますが、この先がお茶室になっています。

広い玄関ホール
玄関に入るとこの様に広い空間になっています。多分来客が多い家だったのでしょう。

居間南側の庭に面した開口
玄関の間から奥に進むと広い居間につながります。南の庭に面して大きな開口部は建具が全て両脇の壁の中に引きこまれるようになっていて、部屋の内外が一体となる、気持ちの良い窓です。雨戸、ガラス戸、網戸、障子が2枚ずつ壁の中に仕舞い込まれるのでレールが8本あって、壁の厚さは60cmほどにもなります。

居間南の開口を障子を閉めると
そして障子を閉めるとこの様になります。

居間から食堂と中庭を見る
これは、同じ今の北側、食堂につながっていて、中庭があります。ここの建具も全て壁に引き込まれるようになっていて、光と風が抜ける気持ちの良いスペースになっています。

和室
居間の奥にある和室。数寄屋好みの吉田五十八には珍しく長押を回していますが、端正で美しい部屋でした。面白いことに床の間の床框の下にスリットがあって空調の吹き出し口になっています。こうゆう所にもきちっと気配りがされているのですね。

夫人室
これはさらに奥にある夫人室。洋風の部屋と和風のミックスされた不思議なインテリアです。

プライベートな茶室
この家にはお茶室が2カ所あり、玄関の南側にあるのが四畳半の来客用の茶室で、この写真は奥の方に在るプライベートな茶室と言うことでした。自分で楽しむために少し遊び心のある部屋で、壁にも大きなスサが入っていて美しい模様になっています。僕は、こちらの茶室の方が気に入りました。

まだまだ見どころがたくさんあって書ききれないほどですが、1月は庭の保護なために庭園内を歩くことは出来なかったので、春になったらもう一度見に来たいと思いました。
Posted by kozyken
category:住宅
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