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1950年代
児童百科事典

先日のオープンハウスの折、「ののの家」のお施主さんに平凡社の児童百科事典を見せてもらいました。これは1951年から発行された子供向けの百科事典で、今ではめったに手に入らない貴重な本だということです。全部で24巻あります。

けんちくの項

その中の「けんちく」という項を開くといかにして設計から施工まで建築が作られるかという説明から、ピラミッドからパルテノン、そして現代建築までの歴史が図版とともに6ぺージ程にわたって、説明されています。子供のころにこれだけ建築とは何かをちゃんと学ぶ機会があれば、大人になってからももっと建築を理解できるようになるのにと、つい考えてしまいました。
これは建築だけでなくすべての項にわたって、本格的な詳細な説明がなされているとのこと。小学生のうちにこの本をしっかり読みこめば、学校へ行く必要がないのではないかと思える内容です。

この本が発行された50年代は、日本がようやく戦後の復興を始めた時期で、戦中の出版物に対する統制、検閲から解放されて、将来にたいする明るい希望が、この本に、そしてこの本を手に取る子供たちに託されているような気がします。

話は変わりますが、僕たちがこの3年間、保存と再生をするよう働きかけている、法政大学の55年館、58年館、そしてすでに解体されてしまった53年館という建物も、この時期に、新しい民主主義の理想に燃えた総長の大内兵衛と、若き理想に燃えた、大江宏という建築家の出会いによって生まれた建築です。今までの学校建築の殻を破ってできたこの建築は、建築家の才能だけではなく、この時代の空気を反映した奇跡だと思うのです。
それは、壊してしまえば、今の時代では作ることのできないものなのです。
日本では、40年、50年の建物を古くなったからと言って、簡単に壊して建て替えてしまいますが、いくら技術が進んでもそれだけでは再現できないものが世の中にはたくさんあります。
法政大学55/58年館


子供のころから、そのような何が大事なのかということを教えることが教育なのではないかと、ふと思いました。
そして、この児童百科事典を超える児童百科事典がこの60年間で出てきていないのだそうです。
Posted by kozyken
category:日記
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おうち作りの記
ブログの更新がしばらく滞っていました。
実は、理由が解らないのですが、10日ほど前からブログのサーバーに繋がらない状態になり、いろいろ試しても回復せずにいたのですが、やっと自宅のパソコンから繋がるようになりました。(事務所のパソコンからは未だに繋がりません。)

と言う訳で、間が空いてしまいましたが、「ののの家」オープンハウスに来ていただいた方、ありがとうございました。おかげで大変盛況で、多くの方に見ていただき、感想を伺うことができました。
オープンハウスの翌日に、建物の引き渡しも終わり、この週末でお施主さんの引っ越しも完了しているはずです。
引き渡しが終わり、建物が自分の手から離れると、いつもながら少しさびしく感じるものですが、これからお施主さんと建物との長いお付き合いが始まるということでもあります。

オープンハウスの様子

オープンハウスの当日に、お施主さんから「おうち作りの記」と言うA4用紙6枚にびっしりと書かれたメモをいただきました。これは、お施主さんが僕と出会う前に、家を建てようと考え始めた時、これから建てるつもりの家について書いたものだそうです。
そこには、形になる以前の家と言うものに対する基本的な考え方がかなり明確に書かれています。
結局、家が出来上がるまでこのメモは僕に見せることなく、設計、そして工事が進んできたわけですが、出来上がったものを見ると、このメモのイメージの通りに出来上がっていますとお施主さんに言われました。

このメモを、最初に見せてもらっていた方が良かったのか、見せてもらわなくて良かったのか、ちょっと難しい判断ですが、僕としては見せてもらわなくてよかったと思います。
このメモには、いま読むとすごく納得できるところが数多くあるのですが、最初に見ていれば、そのことが固定観念として、設計に入る前に僕の頭の中に固定されて、デザインの足かせとなっていたことでしょう。
しかし、半年近い設計期間中に、何回となく打ち合わせを繰り返す中で、自然とこのメモにあるようなお施主さんの物事に対する基本的な考え方が、意識的であれ、無意識的にであれ、僕の中に伝わってきて、それが形として図面の中に現れてきたような気がします。

それにしても、これだけのメモを書いて、それを設計者に見せないということもすごい判断だと思います。それだけ設計者としての僕のことを信頼していてくれたのだと考えると、頭の下がる思いです。

一軒の家を建てるということは、施主と設計者のコラボレーションであり、お互いの信頼関係が欠かせないのだということを改めて考えさせられました。
オープンハウスの後でワインで乾杯
Posted by kozyken
category:住宅
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「ののの家」―こだわりのアイテム
「ののの家」は、後2日ほどで完全に仕上がって、今週の土日はオープンハウスです。

そこで、この家ならではのちょっとこだわったところを、いろいろとご紹介しようと思います。
家を設計している時には、いろいろと設計者としてこだわるところが出てくるものですが、今回は、お施主さんにもこだわるところがいろいろあり、それが建物が完成してから、良い雰囲気を作っているのではないかと考えています。

1.本箱:本の好きなお施主さんの第一の希望はたっぷりとした本の収納があり、それが見えるようにすること。居間と階段の間を本箱で仕切りにしたり、家族全員で使える大きな作業カウンターにも本箱を組み込みました。
本箱とカウンター

2.設計者としての最大のこだわりは、2階の天井の形です。屋根の形そのままの急な勾配の天井に、梁や垂木と言った普通は天井裏に隠れる構造部材がそのまま見えてます。古い日本の民家のようです。屋根部分の断熱を外断熱にすることで可能になりました。
垂木と梁


3.お施主さんが、カタログから探してきたベネチアンガラスをロフトの窓にはめ込んでみました。レース生地を貼った天井と共に、きれいに光が入ってくる空間になりました。
ベネチアンガラス

4.これはお施主さんの希望で、キッチンの横の壁に作った黒板。鉄板の上にブルーの黒板塗料を塗ったので、チョークで書くことも、メモをマグネットで止めることもできます。小学校に通う子供のいる家では、メモが多いので便利そうです。
ブルーの黒板

5.これはアメリカ製のスイッチ。お施主さんがネットで調べてきました。日本のものに比べて、シンプルでちょっとレトロな感じがします。
アメリカ製のスイッチ

6.洗面室の洗面器は学校の実験用の流しを木のカウンターにはめ込みました。これもお施主さんが、別荘で使っていて、使いやすいのでと言う希望で作りました。
実験流し

7.最後に、外部の基礎に左官屋さんがモルタルを塗った後、家族全員の手形を付けて、定礎にしました。それぞれの手の大きさが違っていて、後で良い思い出になることと思います。
手形の定礎板
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オープンハウス開催―「ののの家」
このブログでも工事の様子を掲載していた、「ののの家」が昨日、竣工検査が終わり、今週中にはすべての工事が終わる予定です。
そこで、お施主さんのご厚意によって、オープンハウスを開催することとなりました。

ののの家2階スタディールーム

「ののの家」は、40代のご夫婦と幼い二人の子供たち、そして親世代が同居する二世帯住宅です。二つの世帯が程よい距離を保ちながら、コミュニケーションを取る、そして2階の子世帯では、プライバシーよりもコミュニケーションを大事にする、オープンなプランニングを目指しました。

限られた面積の中で、ロフトと吹き抜けを組み合わせ、ボリュームの変化を利用して、立体的で広がりの感じられる空間となるように考えています。
さらに、屋根面を外断熱にすることで、野地板、垂木など、普通は天井裏に隠れてします構造部材を見せることで、リズム感のある空間が出来上がりました。

適切な断熱材の使用とLow-Eガラスの組み合わせで、次世代省エネ基準を達成し、暖房には水蓄熱式のアクアレイヤー床暖房を採用して、1日の室温変化の少ない快適な温熱環境を目指しています。
そのほかにもいろいろと工夫を凝らして、見どころの多い住宅となりました。ぜひ見に来ていただけたら幸いです。

オープンハウスは、下記の要領で行われます。

どなたでも参加できますので、Eメールで、オープンハウス参加希望と書いて、住所・氏名・電話番号を入れて、送っていただければ、こちらより詳しい案内図の付いたパンフレットをお送りします。

日 時:  2013年8月3日(土) AM 10:00~PM5:00
           8月4日(日) AM 10:00~PM3:00
連絡先  : 〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2-17-33 カサ・ブローテ
       想設計工房 小島建一
       TEL:03―3207―6895/ 090-8491-3611
       FAX:03―3207―6895
       Emale : kekojima@pluto.dti.ne.jp
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「ののの家」―完了検査
吹き抜けの見上げ

今日はののの家の完了検査でした。

建物を建てるときは、工事が始まる前に、役所か民間の審査機関に、建築確認を提出して、図面と書類で、その建物が建築基準法に違反していないかどうかの審査を受けなければなりません。
その確認審査の通りに、建物が出来上がっているかどうかを検査するのが、完了検査です。
今回は民間の審査機関に確認を出したので、そこの検査官が検査に来ました。
現場は、図面通りに工事を行って、何も問題はないはずですが、検査が終わるまではなぜか緊張します。検査の方は何も問題は無く、短い時間で終わりました。

現場は、細かいところが少し残っていますが、外構を除いて、今週中に終わる予定で、来週早々にお施主さんと設計事務所の検査となります。
検査機関の検査は、法的に問題が無いかどうかの検査ですが、来週は、工事の仕上がりと設備関係が設計通りになっているかと言う検査になります。

小屋裏からスタディールーム見下ろし

キッチン
特注のステンレスカウンターのキッチンは、扉のないシンプルな構造ですが、シンクの横にこれから食洗機にが入ります。

ロフト
ロフトの天井に、薄手のレース生地を貼りました。天井越しにトップライトの光が柔らかく入ってきます。

ロフト見返り
Posted by kozyken
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